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ネタばれ注意「コンビニたそがれ堂」 [オススメ]

ただ、一つ、言えることがある。
見えなくなっても、会えなくなっても、きっと、
「どこか」には、みんな、ちゃんといるっていうことさ。
消えてしまうわけじゃない。誰の魂も、どんな想いもね。

          コンビニたそがれ堂「あんず」より



実は今回、避妊手術後の抜糸の日にチーが脱走した時の
話を書こうと思ってたんですけど、今日、家から歩いて
5分もかからない場所に、ローソンが新しくオープン
しまして、その記念に以前ちょっとだけ紹介しかけてた
村山早紀さんの小説「コンビニたそがれ堂」をあらためて
紹介したいと思います。(ほとんどこじつけ・・・w)

風早(かぜはや)の街の駅前商店街のはずれ、赤い鳥居が
並んでいるあたりに、夕暮れになると現れる不思議な
コンビニたそがれ堂。
大事な探しものがある人は、必ずここで見つけられる
という。

このコンビニの店員さんは、長身・銀髪、そして
金色の瞳を持ち、爽やかで愛想が良くて飄々としながらも
時折ふと妖しい雰囲気を醸し出すイケメン。
果たしてその正体は、なんと・・・神様!

といっても風格や威厳ある神様とはちょっと違う、
いかにも日本特有の「八百万(やおよろず)の神」
って感じで、その昔、風早の地でその美しい姿ゆえに
村人たちに勝手に神様として崇められ、そんな村人
たちを幸せにしたい、と願って京都の伏見で修行を
積み、晴れて「風早三郎」という名の神様となった
「狐」なのです。

この物語、現在5巻まで続いており、1話完結の
ストーリーがそれぞれ4~5話くらい収録されてて
どこから読んでも楽しめます。
主人公はこのイケメン神様・・・と言いたいとこ
なんですが、実際は各話に登場する風早の街の住人が
さまざまな「大事なものを見つける」話の狂言回し
(?) 的な役割になってます。
手塚先生の「ブラックジャック」とか、楳図先生の
「おろち」みたいなもんでしょうか。

内容的には、やはり、風早の住人たちが
「大切な人・もの、を失ってから立ち直るまで」
みたいな話が多いような気がしました。
かといって、最近よく見かける若手俳優や女優の
ドラマや映画にありがちな、恋人の死を乗り越えて
新しい相手と再出発しま~す、みたいな薄っぺらい
カスみたいな物語ではなくて、大切な人がこの世から
いなくなっても、きっと思いや心は一緒にいてくれる
と信じてその喪失感を乗り越えて成長してゆこうと
する姿が描かれてます。

この記事の冒頭の、風早三郎のセリフはまさに
「見えんけど、おる」
水木しげるワールドに共通するものがあって、また
既に5~6年続いてる人気作にも関わらず、今まで全く
その存在を知らず、奇しくも水木先生が、あっちの世界へ
行ってしまわれてからすぐに出会った物語ということも
あって、私にとっても大切なシリーズになりそうです。

ホントはもっと詳しく書きたいんですが、今後この
ブログで登場する機会もちょくちょくあるので、今回は
この辺で。







またまたネタばれ注意 !!「舞台版・旅猫リポート」リポート! [オススメ]

ーーー僕のリポートはもうすぐ終わる。
それは決して悲しいことじゃない。
僕らは旅の思い出を数えながら、
次の旅へと向かうんだ。
先に行ったひとを思いながら。
後から来る人を思いながら。
そうして僕らはいつかまた、
愛しいすべてのひとびとと
地平線の向こうで出会うだろう。
            「Last-Report」より

昨年、小説版の「旅猫リポート」の感想を書き
ましたが、今回はDVDで見た舞台版の感想を
書いてみたいと思います。

2015-11-06_16.20.32.jpg

ファンの方はご存知の通り、この「旅猫リポート」
という作品は、もともと舞台化を前提に執筆された
物語なのだそうですが、小説を読んでしばらくして
からそのことを知り、どうしても見たくなって
ヤフオクでDVDを入手いたしました。

さて、ここから先は
「たいしたこと書いてないのにネタばれ画像ばれしてる」
という悪質な内容の記事になりますので(笑)、興味は
あるけどまだ舞台版を見てなくて、自分の目で見るまで
画像は見たくねえ!という方は、どうぞ遠慮なくここで
Uターンお願いいたしま~す~(^^♪。



さあ、

よろしいでしょうか?

では、いきますよ?


でも、フツーに考えて気になりますよね、いくら
「舞台化を前提」とはいえ、人間と猫が旅をする
話ですよ?アニメとかならともかく、猫側の主人公
「ナナ」は誰がどうやって演じるんだ?

「ミュージカルCATS」みたいな姿なのか・・・?

それとも完全な着ぐるみ状態で出てくるのか?

あるいはヌイグルミを使う・・・?

いや、まさか本物の猫が演技するとか・・・?

・・・で、
この素朴な疑問と関心に対する衝撃の答えがこれだ!

ド---------------------------------------------ン!

2016-01-17_09.49.09.jpg

思いっきりフツーの人間やんけ!(笑)
ちなみに向かって右側が「猫」の「ナナ」
人間よりデカい(笑)

まあ、この作品に限らず「舞台」というものに
縁がなかった私のようなシロートからすれば
斬新すぎる光景なのかもしれませんが、もともと
先に小説を読んでいたので、意外とすぐに
すんなりと馴染めました。

内容は、途中でフェリーに乗るくだり以外は、ほぼ
小説と同じで、冒頭のナナの独白から物語は始まるの
ですが、一番最初に影絵で猫が人間に姿を変えるん
ですよ、で、ここから長身でイケメンのナナ(笑)の
登場になるんですけど、最初にこれがあったから
抵抗なく溶け込めたのかもしれません。

ただ、唯一の違和感は小説を読んでイメージしてた
それぞれの人物像と、舞台上で演じている役者さんの
キャラのギャップが・・・(笑)
まあでも本は本、お芝居はお芝居、完全な別物と
割り切って見れれば、時間を忘れるくらいに集中して
楽しめます。ちなみに、ナナ以外の登場猫も
役者さんが人間の姿のまま演じているのですが
人間側の出番がない時に猫の役で出たりして、
それぞれの役の掛け持ちが大変そうでした。

お話がほぼ小説と同じなので今回は内容の感想は
控えますが、なんていうかねえ・・・アレですよ、
やっぱり物語って「恋愛」より「友情」ですね。
非リア充サイドの私はつくづく実感しましたよ。

2015-04-27_14.31.05.jpg

小説版と同じく、舞台版もこの記事の冒頭のセリフで
物語は幕を閉じるのですけど、2人 (1人と1匹) が
このセリフのあと振り向いて歩いてゆくラストが
これまた影絵になるんですが、この時、ナナが
歩きながら猫の姿に戻り、サトルにじゃれつくん
ですよ。
物語中、ずっとツンデレだったナナのラストのこの
姿がもう可愛くて愛しくて不覚にも涙腺が・・・

2015-07-25_21.18.17.jpg

ちょっと前まで、この演出に感動しつつも
別に猫が人間に変身したっていう設定じゃないねんから
影絵で猫にする必要ないんちゃうんか?
と、思ったりしてたんですが、見に来たお客さんを
現実から「舞台」という夢の世界へ連れて行くには
やっぱり必要だったんだなと今になって勝手に解釈
しております。
「オズの魔法使」や「転校生」の最初と最後だけ
白黒みたいなもんか?違うか。

この、オープニングとエンディングの影絵、ホントに
上手く出来ていて、何回見ても猫から人間、人間から
猫へ変わってゆく過程がどうやって映してるのか
全く見破れなくて不思議です。

と、まあ長々と書いてしまいましたが、この
「旅猫リポート」という作品、私が一番、心に
響いたのは、たとえ血は繫がってなくても親子は
親子であり、男と男、人間と猫であっても互いの
存在を尊重し、必要とし、思いやって与え続ける
無償の愛の姿でした。

そして、たとえ肉体は滅んでも、本当に相手を
愛する心があれば、いつでもどこでも会えるんだ
・・・という希望をあらためて教えられた気が
するのです。

仮にナナが猫でなくても、この物語は成り立つん
でしょうけど、やっぱり猫というのはつくづく
千両役者よのうと脱帽モノの「♂猫」ナナの
ツンデレぶりでした(笑)

好きか嫌いかは別にして、ぜひ一度読んでみて
いただきたい作品です。










こういうのは、いかがでしょうか? [オススメ]

大事な探しものがある人だけが辿りつける
不思議なコンビニ、たそがれ堂。

2015-12-17_20.14.37.jpg

・・・などと、本の紹介をしてる場合ではないのですが、
12月に入ってから我が「ブラック清掃会社」の仕事が
アホほど忙しくなり、それと同時に精神を蝕まれるような
嫌な出来事が次から次へと、これでもかこれでもか、と
押し寄せて、立ち直れないくらい傷ついた心を癒して
くれたのがこの「コンビニたそがれ堂」シリーズなので
ありました。


この作品
と、書きかけたところで何とまさかの長女にPC使うから
交代してくれと言われてしまい今日はここまで!

2015-12-13_21.11.41.jpg

実はネ、私も最近知ったばかりであんまり詳しくない
うえに、まともに読んだのが1~5巻までのうちの
5巻に相当するこの ↑「神無月のころ」だけという (笑)

で、この表紙の女の子は実は化け猫なんですよ。
一見すると、巷に氾濫してる同じような物語に
思われるかも知れませんが、読むとなんだか
生きてることの有り難さを実感出来る、そんな
作品です(説得力まるでなし!)

なんの紹介にもなりませんでしたが、また
あらためてちゃんとした感想書きます。

IMG_20150810_150725.jpg

ちなみにこの写真は一切関係ありません

ネタばれ注意!!「旅猫リポート」リポート! [オススメ]

僕はいついつまでも永遠にサトルの猫だ。
だからノリコの猫にはなってやれないのだ。
         「Last-Report」より


予告までしておきながら、まさかのPCの不調で
前回ブッチぎってしまった、有川浩さんの
「旅猫リポート」の感想を書いてみたいと思います。

ネタばれ全開なので、これからこの作品を読もうと
してる方や、内容を知りたくない方は、ここから先は
遠慮なくスルーしちゃって下さいませ ♪

この「旅猫リポート」、初版は2012年に発行されて
いるのですが、私が初めて読んだのは2年くらい前、
書籍として発売されてから1年経ってからでした。
我が家にニャアコが居なければ、今もまだ手にして
いなかったかも。


やむにやまれぬ事情のため、5年間一緒に過ごした
愛猫「ナナ(♂)」を迎え入れてくれる場所を
探すべく、友人を頼りながら旅を続ける「サトル」
と ナナ。

小学校時代の友人「コースケ」
中学校時代の友人「ヨシミネ」
高校から大学にかけての友人であり、
今は夫婦になっている「スギとチカコ」
それぞれナナを気に入ってくれてたにも関わらず
結局は「お見合い」は全て破談になってしまい、
最終的に北海道の叔母「ノリコ」に引き取って
もらうことになるのだが、それは「ナナ」と病に体を
蝕まれていた「サトル」のこの世での別れを意味
していた・・・

と、まあチョー簡単にあらすじ書くとこんな感じ
なんでしょうけど、登場人物が最小限に絞られてる
のと、有川さんの文章の親しみやすさもあって、
一気に読めて、さらに何度も読み返したくなる
作品でした。

なんというか、この人間側の主人公 (?) サトルが
非の打ちどころのないような好青年で、ともすれば
「こんな奴いねーよ」と白けてしまいかねない
ところですが、まったく嫌味に感じないのは、その
不幸な設定と、そして自身の不幸を不幸と思わない
前向きな心の持ち主だからでしょうかね。
旅の先々で、サトルと友人たちの会話にいちいち
独白でツンデレのツッコミを入れるナナ(♂猫)で
なくても惚れてしまうイイ男ぶりでしたね。
恋愛モノの物語はカネ貰っても見たくない私に
とって、人間と猫という種族を越えた、男同士の
旅という内容もよかったです。


生まれて間もなく親に捨てられ、実の親以上の
愛情で育ててくれた両親 (ノリコの姉夫婦 ) は
サトルが小学校の修学旅行中に事故死、そして
本人は若くして病気で亡くなってしまうという
信じられない境遇でありながら、運命を恨むこと
なく最後までナナと、血のつながらない叔母の
ノリコを気遣うサトル・・・

よく考えてみると、サトル、サトルの両親
(育ての親のほう)、親代わりに育ててくれた
叔母のノリコ、そして5年間の暮らしと最後の旅を
共にしたナナ・・・
全員「実の子供」を残すことはなかったんですよねえ
それでも皆、本当の家族以上の絆で結ばれていた。

これは物語に直接関係ないかもしれないし、作者が
言いたかったことではないかもしれないけど、
たとえ血縁関係がなかったとしても、縁あって
出会えた命に責任を持ち、無償の愛を注ぎ続ける
のが本当の親子であり、本当の家族なんじゃないかな
と思ったりします。


皆さんの感想はいかがでしたか?
この「旅猫リポート」、普通の物語として読んでも
ステキな作品ですが、猫好き、特に猫と暮らしてる
人にとっては堪らない一冊になったんではないで
しょうか。

ちなみに私の一番好きな場面は、この記事の冒頭に
引用した、最終章のナナのセリフです。
言葉の通じないサトルとナナがお互いを思いやり
この世での別れがあったとしても、いつでも
会えるという確信。
それは男と女、人間と動物、そういう関係を全部
超越して、全力で「愛」を投入したものだけが
実感できる世界なんだろうなあと羨ましかったです。

で、感想を一言でまとめると、ウチのニャアコも
こんな風に思ってくれてたらいいな、という願望に
満ち溢れた物語です。
おそらくこれからも、何度も何度も読み返すで
あろう大切な一冊になりました。

余談ですがこの作品、なぜか文庫版では全く
見かけないんですよね~
なんか事情があって出版されてないんでしょうか?












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