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ネタばれ注意!!「旅猫リポート」リポート! [オススメ]

僕はいついつまでも永遠にサトルの猫だ。
だからノリコの猫にはなってやれないのだ。
         「Last-Report」より


予告までしておきながら、まさかのPCの不調で
前回ブッチぎってしまった、有川浩さんの
「旅猫リポート」の感想を書いてみたいと思います。

ネタばれ全開なので、これからこの作品を読もうと
してる方や、内容を知りたくない方は、ここから先は
遠慮なくスルーしちゃって下さいませ ♪

この「旅猫リポート」、初版は2012年に発行されて
いるのですが、私が初めて読んだのは2年くらい前、
書籍として発売されてから1年経ってからでした。
我が家にニャアコが居なければ、今もまだ手にして
いなかったかも。


やむにやまれぬ事情のため、5年間一緒に過ごした
愛猫「ナナ(♂)」を迎え入れてくれる場所を
探すべく、友人を頼りながら旅を続ける「サトル」
と ナナ。

小学校時代の友人「コースケ」
中学校時代の友人「ヨシミネ」
高校から大学にかけての友人であり、
今は夫婦になっている「スギとチカコ」
それぞれナナを気に入ってくれてたにも関わらず
結局は「お見合い」は全て破談になってしまい、
最終的に北海道の叔母「ノリコ」に引き取って
もらうことになるのだが、それは「ナナ」と病に体を
蝕まれていた「サトル」のこの世での別れを意味
していた・・・

と、まあチョー簡単にあらすじ書くとこんな感じ
なんでしょうけど、登場人物が最小限に絞られてる
のと、有川さんの文章の親しみやすさもあって、
一気に読めて、さらに何度も読み返したくなる
作品でした。

なんというか、この人間側の主人公 (?) サトルが
非の打ちどころのないような好青年で、ともすれば
「こんな奴いねーよ」と白けてしまいかねない
ところですが、まったく嫌味に感じないのは、その
不幸な設定と、そして自身の不幸を不幸と思わない
前向きな心の持ち主だからでしょうかね。
旅の先々で、サトルと友人たちの会話にいちいち
独白でツンデレのツッコミを入れるナナ(♂猫)で
なくても惚れてしまうイイ男ぶりでしたね。
恋愛モノの物語はカネ貰っても見たくない私に
とって、人間と猫という種族を越えた、男同士の
旅という内容もよかったです。


生まれて間もなく親に捨てられ、実の親以上の
愛情で育ててくれた両親 (ノリコの姉夫婦 ) は
サトルが小学校の修学旅行中に事故死、そして
本人は若くして病気で亡くなってしまうという
信じられない境遇でありながら、運命を恨むこと
なく最後までナナと、血のつながらない叔母の
ノリコを気遣うサトル・・・

よく考えてみると、サトル、サトルの両親
(育ての親のほう)、親代わりに育ててくれた
叔母のノリコ、そして5年間の暮らしと最後の旅を
共にしたナナ・・・
全員「実の子供」を残すことはなかったんですよねえ
それでも皆、本当の家族以上の絆で結ばれていた。

これは物語に直接関係ないかもしれないし、作者が
言いたかったことではないかもしれないけど、
たとえ血縁関係がなかったとしても、縁あって
出会えた命に責任を持ち、無償の愛を注ぎ続ける
のが本当の親子であり、本当の家族なんじゃないかな
と思ったりします。


皆さんの感想はいかがでしたか?
この「旅猫リポート」、普通の物語として読んでも
ステキな作品ですが、猫好き、特に猫と暮らしてる
人にとっては堪らない一冊になったんではないで
しょうか。

ちなみに私の一番好きな場面は、この記事の冒頭に
引用した、最終章のナナのセリフです。
言葉の通じないサトルとナナがお互いを思いやり
この世での別れがあったとしても、いつでも
会えるという確信。
それは男と女、人間と動物、そういう関係を全部
超越して、全力で「愛」を投入したものだけが
実感できる世界なんだろうなあと羨ましかったです。

で、感想を一言でまとめると、ウチのニャアコも
こんな風に思ってくれてたらいいな、という願望に
満ち溢れた物語です。
おそらくこれからも、何度も何度も読み返すで
あろう大切な一冊になりました。

余談ですがこの作品、なぜか文庫版では全く
見かけないんですよね~
なんか事情があって出版されてないんでしょうか?












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