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続・「死」の誘惑 (前編) [続・「死」の誘惑]

昨年の秋、「死」の誘惑 というタイトルで記事を
書いた時に紹介した、村山由佳さんの小説、
「風は西から」の新聞連載が今年の3月末に終了
していたのですが、2月頃から仕事が猛烈に忙しく
なって、朝、新聞が配達される前に出勤し、帰って
から読む気力もないほど疲れ果てる毎日だったので
連載の最後の方はもう、飛ばし飛ばしで目を通す
って感じで、気が付くといつの間にか終わって
しまっていて、もう次の連載が始まってました。

3月末から7月まではブログも書けないくらいに
色々あって心身ともにダメージが大きく、果たして
最終回はどんな終わり方をしたのか、気になっては
いたのですが、読み返す機会も逃してしまって、
しばらくはまだ単行本になる気配はなさそうだった
ので、前日、図書館の新聞閲覧コーナーで第1回から
最終回までほとんど1日がかりで読破してきました。


昨年秋の記事「死」の誘惑 はまだ物語中盤、主人公
千秋の恋人・健介が飛び降り自殺をしたところだけ
書いて終わっていたので、今回は全部読み終わった
感想を書いてみたいと思います。
例によって、感想なのか粗筋なのか紹介なのか
単なる自分の近況報告なのかよくわからない、時間の
無駄な記事になっておりますので「時は金なり」な
賢明な皆様は遠慮なくここで閉じちゃって下さい。

最初に書いた通り、この「風は西から」は各地域の
地方新聞に、村山由佳さんが連載していた小説です。
ブラック居酒屋に過労死させられた青年の恋人が
遺された彼の両親と共に裁判を起こし、実質上の
勝訴を掴み取り、彼の名誉を守るまでが描かれて
います。

私がこの連載に興味をもって途中から読み始めた時
は、物語がもう中盤まで進んでたのですが、健介は
まだ生きていて、たまに健介視点で物語が進んで
いってたので、てっきり彼が主人公だと思っていて
話自体も単なる恋人たちが支えあって苦労を2人で
乗り越えてゆく、よくある物語だろうくらいにしか
思ってませんでした。

和民をモデルにしてる設定がバレバレな居酒屋の
チェーン店の店長として苦労する彼の姿に、自分の
境遇を重ね、どうやってこの苦境を乗り越えるのか
と、新聞を毎日読みながら見守っていましたが、
日に日に状況は悪くなり、なんら救いのないまま
ついに彼が命を絶った回を読んだ時は、かなりの
ショックでした。

健介が亡くなった後、広島の実家で創作料理屋を
営む彼の両親がやって来て、息子の嫁になるはず
だった千秋と共に彼の死を確認する場面があまり
にもいたたまれず、やはり、どんなに辛い事が
あっても、自ら命を絶つようなことは絶対にダメだ、
と、自分に言い聞かせるために書いたのが
「死」の誘惑 という記事でした。

その後、ブログで触れることはありませんでしたが
連載は4か月間続き、愛する恋人を、大切な一人息子
を、真面目で優しく働き者だった好青年を、死に追い
やっておきながら、人を人とも思わぬ舐め腐った態度
でサッサと片付けようとするブラック居酒屋と、その
経営者を相手に裁判で戦ってゆく中で、健介の死の
真相も明らかにされてゆきます。

去年の秋、「死」の誘惑 を書いた段階では
美人で、知性もあって、頭の良さや気の強さを決して
表に出さず、仕事も出来て、いつも自分のことを
心配してくれるという、およそ現実には存在しない
ような恋人がいながら、また、その恋人と家庭を持ち
尊敬する両親の跡を継いで創作料理屋を大きくする
という夢がありながら、なんで命を絶つ前に、両親や
彼女達のことを考えられなかったのか、とか、こんな
理不尽で狂った仕事なんて辞めてもバチは当たらん
だろうに、とか、健介に対して
「たった1つの命を、何という勿体無いことを…」
などと、憤りを感じてたのですが、実際は、そんな
綺麗事など考えられないくらいに健介が精神的にも
肉体的にも追い詰められ、ひょっとしたら「死ぬ」と
いう自覚や意識すらないままベランダの柵を越えて
しまったのだろうというのを千秋が知る場面を読んで
、図書館の新聞閲覧コーナーで泣いてしまいそうに
なってしまいました。

(つづく)


























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