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翻訳事始 ( 中編 ) [講演会]

講演会が終わったあと、昼休憩を挟んで行われる
金原先生のワークショップ。
内容としては事前に先生から課題として出された
物語を訳して来て、それを先生と一緒に
「答え合わせ」のような感じで翻訳するという
ものだった。

実は私は最初、講演会のみ参加する予定で、
もし定員に余裕があれば、将来「通訳」の仕事を
志してる長女だけでも参加出来ればと思い、
問い合わせてみたところ、なんと!
「ちょうど残りあと2名で締め切りです」
とのこと!
え!?これってひょっとして、このワークショップ
を きっかけに俺の中で40数年間眠っていた
翻訳家としての潜在能力を目覚めさせるための
天の粋な計らいなんじゃないの~♪
もしかしてだけど~♪ もしかしてだけど~♪
という邪な考えのもと、即、親子2名で
申し込みしたのでありました。

先生からの課題は、ブルース・コビルという
作家が1986年に発表した「The Box」という
物語・・・の最初と最後の部分。

12ページほどの短い物語の、さらに最初と最後
だけでいいということで、スマホとかPCの
翻訳機能使ったら楽勝やんけー、と気楽に
構えていたのだが・・・

う~ん、難しい・・・
ちょっとした文章くらいならPCが自動で訳して
くれるので、大体のニュアンスはわかるのだが、
それが日本語の文章として繋がらないのだ。

物語としては、マイケルという少年のもとに
天使が現れて「箱」を預ける、というのが
最初の部分、そしてその「箱」を天使が取りに
来るのが最後の部分なのだが、有名な話なら
ともかく、今まで聞いたこともない物語なので
イメージも湧かない。

例えば、物語終盤、マイケルに預けていた「箱」
を取りにきた天使が彼に言うセリフ

” You have changed the world, Michael.How
many people know that? ”

というのがあるんですが、

君は世界を変えた。マイケル、どれだけの人が
それを知っていますか?

とか、どうしても変な文章になるし、元の話を
知らないので何で世界が変わったのか、世界が
変わったら何かマズいことでもあるのか、
その辺の内容もさっぱりピンとこなくて
やればやるほどワケがわからなくなり、もう
いっそのこと翻訳されて出版されてたらそれを
読んでカンニングしてやろうかと思ったりも
したけど、さすがにそれやっちゃあ意味ないだろ
と考え直し、折れそうになる心を叱咤しながら
開き直ってもう、ニュアンス最優先の無理矢理な
翻訳で何とか最低限の宿題の箇所は完成させた
のでした。

しかし、これだけ便利な文明の利器をもって
しても異国の言葉を日本の文章に直すのは困難
なのに、まともな辞書すらない時代に文字通り
手探りで蘭書「ターヘルアナトミア」を
「解体新書」として世に送り出し、医学と語学の
発展に多大な貢献を成した、杉田玄白、前野良沢、
中川淳庵たち江戸中期の蘭学者たちの苦労は
いかばかりであっただろうかと、思いを馳せつつ
「蘭学事始」ならぬ「翻訳事始」は 後編に
続くのでありました。



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謎の美少女猫
「It is no use, this (ダメだコリャ)」

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