取り戻した母性(ニルスとレミー・その8) [ニルスとレミー]
双子が生れた時に一番心配だったのは、4姉弟たちがどのような反応を示すか、という
ことだった。
10ヶ月違いで生れた小さな物体を、自分たちの弟や妹として判別出来るのだろうか・・・
判別出来たとして、傷つけようという意図は無くてもジャレてるうちに爪や歯で命を奪う
ようなことになってしまわないか・・・
そして生れた時からもう既に興味深々で、隙あらば・・・と布団に顔を突っ込んでいたのを
双子の母であり、4姉弟の母でもあるニャアコがガードしていたのだが、今やその母は
放心状態で抜け殻のようになって眠ってしまっている。
ニーニー鳴こうが、イーライが咥えて連れ去ろうが全く無反応である。
最悪だ。
とうとう私たち家族が寝る時間になってもニャアコは動かなかった。
ひょっとして本当に死んでしまってるのでは、と心配になって身体を擦って名前を呼んでも
面倒くさそうに生返事をするだけだった。
とりあえずニャアコ不在の布団に赤ちゃん猫たちだけを残しておくのは危険な感じがした
ので、プラスチック製で底の深めの衣装ケースに移し変えて、私が監視することにした。
・・・そういや最後に双子たちにニャアコが乳をやったのは何時間前だ?
う~ん、やはりこういう場合は俺がミルクを作って飲ましてやらないといけないんだろう。
全くの予想外の事態だったので、何をどうしてよいのかわからず、結局、ネットで調べる
しかなかった。
だが、その間も チーとイーライが入れ替わり立ち代り、興味深そうに上から覗いてくる。
「こら!あっち行っとけ!シッ!」
ネットで授乳の仕方を探しつつ、チーやイーライを追っ払いつつ、いろいろな不安が頭を
よぎる・・・
今夜のピンチは凌げたとして、このままニャアコが正気に戻らなかったらどうなるのか?
明日は平日で私も妻も仕事だ、まさか仕事先である病院に、生れて間もない仔猫たちを
連れて行って休憩室でミルクをやるのか?・・・無理だ。
障子と襖ばかりの(それも全部破られてる)我が家で唯一、ドアになってる「貴重品倉庫」
に無理矢理ニャアコと仔猫たちを閉じ込めておくか?ムムムム・・・
あまりいいアイデアではないが、それしか道は残されてないような気がした。
しかし、問題はいかにして今夜を乗り切るかだ・・・
と、その時!
一陣の黒い影が目にも止まらぬ速さで衣装ケースに飛び込んだかと思うと、捕まえる
ヒマもなく1匹の赤ちゃん猫を咥えて、あっと言う間に飛び出してしまった。
「うわっ!チクショー!ついにやりやがった!誰や?またイーライか!?」
あまりの素早さに対応できず、一瞬呆気にとられてしまったが、すぐさま追いかけようと
すると、意外にもその黒い影は咥えていた赤ちゃん猫を、息子が眠る布団の上に置くと
何故か私に向かって挑発的に「ニャー!」と鳴いた。
黒い影の正体・・・何とそれはニャアコだった。
「ニャアコ~!復活したんかーよかった~!」
しかし喜ぶ私には目もくれず、ニャアコはすぐさま残りの赤ちゃん猫を咥えて、息子の
布団に放り込むと最後に自分も入っていき、布団の中で乳を与え始めた。
ニャアコ自身が潜ってゆく時、ようやく私の方を見て逆ギレ気味に「ニャー!ニャー!」と
鳴いていた。どう好意的に翻訳してもお礼やお詫びをいってるようには聞こえなかった。
う~ん理不尽だ。なんでこんなに心配した挙句に逆切れされんとアカンのか。
まあしかし職場で十何人ものオバハンらを束ね、常に底辺の人間模様を垣間見てる
私にとって逆切れ・逆恨みは日常茶飯事である。ニャアコの逆切れなんて可愛いもんだ。
それに何よりニャアコが元に戻ってくれて本当に良かった。
第4子の死産からニャアコの放心状態、そして復活と、時間にしてわずか数時間では
あるが、何とも長く不安な数時間であった。
またすぐこんな状態になったらどうしようかと心配してしばらく様子を見ていたが、
その後は4姉弟の時と同様、息子の布団の下半分を折半して親子で塒にしていた。
いやー良かった良かったと安心したのも束の間、一難去ってまた一難、今度はまた別の
心配事が待ち構えているのでありました。
(つづく)
ことだった。
10ヶ月違いで生れた小さな物体を、自分たちの弟や妹として判別出来るのだろうか・・・
判別出来たとして、傷つけようという意図は無くてもジャレてるうちに爪や歯で命を奪う
ようなことになってしまわないか・・・
そして生れた時からもう既に興味深々で、隙あらば・・・と布団に顔を突っ込んでいたのを
双子の母であり、4姉弟の母でもあるニャアコがガードしていたのだが、今やその母は
放心状態で抜け殻のようになって眠ってしまっている。
ニーニー鳴こうが、イーライが咥えて連れ去ろうが全く無反応である。
最悪だ。
とうとう私たち家族が寝る時間になってもニャアコは動かなかった。
ひょっとして本当に死んでしまってるのでは、と心配になって身体を擦って名前を呼んでも
面倒くさそうに生返事をするだけだった。
とりあえずニャアコ不在の布団に赤ちゃん猫たちだけを残しておくのは危険な感じがした
ので、プラスチック製で底の深めの衣装ケースに移し変えて、私が監視することにした。
・・・そういや最後に双子たちにニャアコが乳をやったのは何時間前だ?
う~ん、やはりこういう場合は俺がミルクを作って飲ましてやらないといけないんだろう。
全くの予想外の事態だったので、何をどうしてよいのかわからず、結局、ネットで調べる
しかなかった。
だが、その間も チーとイーライが入れ替わり立ち代り、興味深そうに上から覗いてくる。
「こら!あっち行っとけ!シッ!」
ネットで授乳の仕方を探しつつ、チーやイーライを追っ払いつつ、いろいろな不安が頭を
よぎる・・・
今夜のピンチは凌げたとして、このままニャアコが正気に戻らなかったらどうなるのか?
明日は平日で私も妻も仕事だ、まさか仕事先である病院に、生れて間もない仔猫たちを
連れて行って休憩室でミルクをやるのか?・・・無理だ。
障子と襖ばかりの(それも全部破られてる)我が家で唯一、ドアになってる「貴重品倉庫」
に無理矢理ニャアコと仔猫たちを閉じ込めておくか?ムムムム・・・
あまりいいアイデアではないが、それしか道は残されてないような気がした。
しかし、問題はいかにして今夜を乗り切るかだ・・・
と、その時!
一陣の黒い影が目にも止まらぬ速さで衣装ケースに飛び込んだかと思うと、捕まえる
ヒマもなく1匹の赤ちゃん猫を咥えて、あっと言う間に飛び出してしまった。
「うわっ!チクショー!ついにやりやがった!誰や?またイーライか!?」
あまりの素早さに対応できず、一瞬呆気にとられてしまったが、すぐさま追いかけようと
すると、意外にもその黒い影は咥えていた赤ちゃん猫を、息子が眠る布団の上に置くと
何故か私に向かって挑発的に「ニャー!」と鳴いた。
黒い影の正体・・・何とそれはニャアコだった。
「ニャアコ~!復活したんかーよかった~!」
しかし喜ぶ私には目もくれず、ニャアコはすぐさま残りの赤ちゃん猫を咥えて、息子の
布団に放り込むと最後に自分も入っていき、布団の中で乳を与え始めた。
ニャアコ自身が潜ってゆく時、ようやく私の方を見て逆ギレ気味に「ニャー!ニャー!」と
鳴いていた。どう好意的に翻訳してもお礼やお詫びをいってるようには聞こえなかった。
う~ん理不尽だ。なんでこんなに心配した挙句に逆切れされんとアカンのか。
まあしかし職場で十何人ものオバハンらを束ね、常に底辺の人間模様を垣間見てる
私にとって逆切れ・逆恨みは日常茶飯事である。ニャアコの逆切れなんて可愛いもんだ。
それに何よりニャアコが元に戻ってくれて本当に良かった。
第4子の死産からニャアコの放心状態、そして復活と、時間にしてわずか数時間では
あるが、何とも長く不安な数時間であった。
またすぐこんな状態になったらどうしようかと心配してしばらく様子を見ていたが、
その後は4姉弟の時と同様、息子の布団の下半分を折半して親子で塒にしていた。
いやー良かった良かったと安心したのも束の間、一難去ってまた一難、今度はまた別の
心配事が待ち構えているのでありました。
(つづく)
2013-05-18 20:21
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