SSブログ

ニャアコよ目を覚ませ(ニルスとレミー・その7) [ニルスとレミー]

夕方に4匹めを死産したニャアコは、その夜、様子がおかしかった。

双子たちの居る息子の布団に寄り付こうとせず、私たち家族が夕餉を囲む居間でグッタリと

寝そべっていた。

「おい、ニャアコ、赤ちゃんたち鳴いてるぞ。乳やらんでええんか?」

「・・・・」

どれだけ向こうのほうで赤ちゃん猫が鳴いていても、動く気配がない。

のらんさんや青竹さんがコメントで書いてくださってるように、猫は生きてゆく力のない者は

本能で淘汰してゆくぐらいなので、子供が死産だったという精神的なシヨックというより、双子が

生れてから2日近くも腹の中にまだ入っていたという体力的な消耗のほうが大きいのだろう。

「ニャアコ、大丈夫か?おい」

「・・・・」

全く返事もない。

しばらくして、ようやくヨロヨロと私のほうに近づいてきたので、夕飯の最中だったが抱き上げて

私の胡坐のなかに置いてみた。

もともと、ニャアコは抱っこされるのと写真を撮られるのを異常なまでに嫌がる。

我が家に住み始めて今現在1年半になるが、膝の上に乗ったのは去年の夏ごろの記事の

「アカチャンダッコ」の時と、この時だけだ。

「珍しいなあ、それになんか弱ってるみたいやし、ニャアコもう死んでまうんちゃうの?」

家族も珍しがって心配しつつ縁起でもない冗談を言った。

「アホか!」

しかしあながち冗談だけではなさそうだ、ニャアコは胡坐の中を嫌がって逃げるどころか、微動

だにしない。

その姿は育児放棄というよりも生きることそのものを止めてしまってるように見えた。

・・・と、その時、イーライらしき影が布団の中から仔猫を1匹、ひっぱりだして咥えたまま

何処かへ走り去ろうとしているのが見えた!

なにやってんだ、あのバカ!ネズミか何かと間違えて、いたぶろうとしてるのだろうか?

自分の弟か妹(この時点ではまだわからなかった)だというのがわからないのか!?

胡坐の中に居たニャアコを畳みの上に降ろし、イーライを追いかけて廊下の隅に追い詰めて

なんとか仔猫を取り返した。

この一連の出来事にもニャアコは無関心で、心配して仔猫たちのいる布団に戻ろうともしない。

おい!ニャアコ!しっかりしてくれ!気持ちはわかるがこのままやと大変やぞ。

「・・・・」

いったいどうしちまったんだ、おい、目を覚ませ、ニャアコー!


(つづく)


















nice!(9)  コメント(3)  トラックバック(0) 

nice! 9

コメント 3

青竹

ニャアコは難産で体力を使い切ってしまったのかもしれませんね。
私も難産だった猫が膝の上に乗ってきて、じっと眠っていたことを思い出しました。
でも今はみんなが仲良く過ごしているということは、ニャアコも回復したということ。
良かったです。
by 青竹 (2013-05-18 23:06) 

bonita

自宅で猫が出産とか経験がないので、この先がとても興味深いです。
by bonita (2013-05-19 13:37) 

クローヴ

ニャアコさん大変だったのですね。。。
出産とは、やはり命がけですよね。
by クローヴ (2013-05-19 18:42) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。