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悔恨 (ニルスとレミー・その6) [ニルスとレミー]

双子がこの世に生を受けたのは私と妻が寝る布団の中だった。

なぜ前回同様、息子の布団で産まなかったのかは分からないが、さすがに1枚の布団に

大人2人とニャアコと仔猫2匹で寝るわけにはいかないので、布団を息子のものとチェンジ

することにして、ニャアコ親子が中に入ったまま子供部屋まで運んで行った。

小5の息子と、ニャアコ親子との布団のシェア生活は、4姉弟の時に既に実践済みだった

ので、余程ニャアコがへそを曲げない限りは問題は無いはずだった。


いや、大問題があった。

今や生後10ヶ月になり、連携プレーでネズミを狩るまでに成長した4姉弟が、生れた

ばかりの双子に対し興味深々なのだ。


翌朝、さすがに子供達も学校に行かないといけないので、とにかく布団が捲れて4姉弟が

入り込まないように気をつけて各々出勤・登校した。

何とかその日も無事に終わり、今回は2匹だけの出産だったのかと不思議に思いながら

迎えた3日めの朝、目が覚めて息子の布団を見に行くと、布団から少し離れた畳の上に

仔猫が1匹、置き去りにされていた。

「!」

急いでまだ寝ている息子の布団を捲って見ると、何故かニャアコと2匹の仔猫が・・・

「?」

狐につままれたような思いで、もう1度よく見てみた。

それはどうやら今回ニャアコが生んだ3匹めの仔猫らしかった。

双子が生れてから丸1日以上、ニャアコのお腹の中に居たままだったのだろうか、

そしてなぜ布団の外に放り出されていたのか?

12月の寒い早朝だ。触ってみると、もうかなり身体が冷たくなっていた。

ひょっとしたら、もうダメかも・・・と思いながらもニャアコと双子が眠る布団の中に入れて

仕事に出た。

帰宅して半ば諦めながら息子に様子を来てみると、意外にもなんとか持ち直したみたい

だった。

驚いたことに、帰宅してその報告を聞いた、約1時間後にニャアコは更にもう1匹産んだ。

娘たちと話をしていると、隣の部屋で宿題していた息子が半泣きになりながら

「お父さん、大変や!大きいほうの子供が赤ちゃんを・・!」と叫んでいたので、驚いて

駆けつけてみると、確かに血らしきもので濡れた猫の赤ちゃんが、これまた布団の外で

グッタリしており、触ってみてももう明らかに生きていなかった。

ついさっき3匹の無事を確認したばかりなのに、たった十数分の間に姉や兄に襲われた

というのか?ニャアコは一体その間、何をしていたのか・・・?


やるせない気持ちで、襲われたのが誰なのか確認するため布団を捲った。

「・・・?」

布団の中には、ちゃんと3匹の仔猫が鳴いていた。

「1,2・・・3・・・」何度数えても3匹だ。

ではこの亡骸は一体・・・?

信じられなかったが、どうやらニャアコがつい先ほど産んだ4匹めのようだった。

双子の誕生から数えて2日めのことである、結局3日がかりで4匹の子供を産んだことに

なる、こういうことはよくあることなのだろうか?


そして最初に書いたように、この死産だった4匹めだけでなく、せっかく持ち直した3匹めも

この数日後に星になってしまった。

私の不注意である。

ニャアコは、これまでに9匹の黒猫を生んだ。

そのうち現在、元気なのは4姉弟と双子の6匹である。

4姉弟と共に生を受けながら2日後に死んでしまった子と、今回死産だった子はまだ諦め

がつくのだが、この3匹めの子に関しては、私がもっと注意して接していれば今も元気

だったかもしれないと思うと悔やまれてならない。

このブログで、どれだけアホな記事を書いていても、心の片隅には常にその子への申し訳

ない気持ちが常に棘のように刺さっている。

多分、それはこれからも消えないだろうし、命に責任を持つ者として忘れてはいけないと

思っている。

(つづく)










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青竹

今回の出産はニャアコにとって難産だったのでしょうか。
私も過去に飼っていた猫で出産が1日以上かかったことがあります。
しかしみんな黒猫というのは、余程黒の遺伝子が優勢なのでしょうね。
星になった子の分も、みんなが元気に健康に過ごしてくれますように。
by 青竹 (2013-05-11 14:19) 

のらん

本には、出産に数日かかることも・・・なんて書いてありますね。3匹目の子は、最初から弱くて生きられないから、とニャアコさんが巣(布団)から出したのではないでしょうか?人間的に考えると残酷なようですが、動物は本能的に、生きられる子しか育てない、などと言われているみたいです。

by のらん (2013-05-11 15:38) 

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