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忍者部隊 黒猫・後編 (ニャアコの回顧録・平成24年4月) [ニャアコの回顧録]

一度 壁を乗り越えると、もう次の日から4姉弟は箱から勝手に出るようになった。

確かにいくら特大のダンボール箱といっても生後2ヶ月近くなると体も結構大きく

なるので、一家5匹で寝起きするには手狭になってきていた。

それでも、自力で出る事は出来てもさすがに戻ることは無理みたいだったので、仕事や

学校で家族が出払った後は心配だったから、まだしばらくダンボールハウスで留守番を

させておこうと、更にダンボール紙を貼り付けて壁を高くした。


・・・が、無駄な抵抗だった

牛若丸が、毎日伸びてゆく竹を飛び越えて、源義経になった時のジャンプ力を培った

ように、ちょっとずつ壁を高くしていっても次の日にはもう這い上がって脱走してる

のだ。

4姉弟の父猫はどんな奴かは知らないが「ここ一番、やる時はやる」というニャアコの

身体能力は受け継いでいるようだった。


もう何度も何度も書いているが、かつてニャアコは・・・

まだウチに餌を食べに遊びに来ていた野良猫だった頃、どんなに私や子供に懐いても

「絶対にウチでは飼えない」と家の中には入れなかったのだが、雨が激しく降っていた

ある真夜中、外からジャンプして地面から高さ1メートルのガラスの割れた箇所を、

塞いでいたダンボール紙をぶち抜いて潜り抜けて我が家に侵入してきたのだ。

戸締りをして家族が寝静まった真夜中に、居るはずの無い黒猫がズブ濡れで部屋の中に

当たり前のように座っているのを見た時はさすがに心臓が止まりそうだった。

何がすごいといってニャアコは初めて会ったときからすでに前脚が1本折れていて

ブラブラの状態だったのだ。


・・・ニャーニャーと鳴きながら次々と箱をよじ登ってこえてゆく仔猫たちを見ながら

こいつらはそんな烈女のDNAを受け継いだ子供たちなのだと先が思いやられた。


そして遂にダンボールハウスも呆気なくお役ご免になる日がやってきた。

ガムテとダンボール紙で継ぎ足し継ぎ足ししていただけなので強度がほとんどなかった

うえにニャアコが豪快に出入りするので耐え切れなくなって、ドリフのコントのように

崩壊してしまったのだ。まったく予想外の早すぎる終焉だった。


こうして解き放たれたニャアコ一家は名実共に我が家の「同居人」となった。

5人家族と5匹家族の共同生活・・・それは7ヶ月前まで猫に触ったこともなかった

人間にとっては想像を絶する連続の幕開けだった。



「忍者部隊 黒猫」完











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青竹

さすがは意志の強いニャアコの子供達だけの
ことはありますね。
きっと強く育っていくことでしょう。
by 青竹 (2012-11-16 10:48) 

のらん

あはは(爆) 子供のころ、姉と一緒に拾ってきた3匹の子猫を、親に見つからないように、段ボール箱に隠して家の中に入れていたときのことを思い出しました。翌朝、母の怒号で飛び起きたら、子猫がわらわらと家の中をうろついていて・・・親には怒られましたが、その後、2匹は貰い手を見つけて、一匹だけわが家で飼ったのですよ(^^)
by のらん (2012-11-17 12:39) 

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