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貧者のディズニーランド(その4)

道路の向こう側から呼びかけながら近づいてゆくと

猫娘は手を振りながら応えてくれた。

「猫娘、一緒に写真撮って~」

と、お願いすると快く娘と一緒にポーズをとってくれた。

ただ

「首から下」の サービス精神旺盛なアクションとは対照的に

肝心の「お顔」が無表情な上に眼の部分が真っ黒という、

微妙な完成度の被り物だったので、当時まだ保育園で

今より更にビビりだった息子はすっかりヒイてしまい

「俺は鬼太郎とじゃないと撮らん」と拒否ってしまった。


最後の最後で猫娘と写真が撮れた長女はサプライズに

大満足だったが、私は「中はやっぱり若い女性なんだろうか」と

不謹慎なことを考えてしまった。


やがて猫娘は無言で手を振りながら、どこへともなく去っていった。

陽炎が立ち昇る中を、ひと気のない港町へ消えてゆく猫娘・・・

もはやシュールを通り越して映画のワンシーンのようだった。


今でこそ「ゆるキャラ」最盛期で、日本全国このような光景は

珍しくないかもしれないが、5年前でこの体験は 私にとっては

衝撃的で、この日以来 自分のメアドを nekomusume と変えて

しまったほどだ。


帰りの車の中での子供達の喜びようを見て思った。

境港は本気だな、と そしてここでは これが日常なのだろう、

ディズニーランドの中ではミッキーやミニーたちが、着ぐるみでは

なく、本当に生きているように ここ境港では、あの猫娘も

間違いなく「本物」の猫娘なのだ。

これが私が「貧者のディズニーランド」と勝手に名づけた所以だ。



以上が5年前の出来事である。

5年ぶりに今度は家族全員で訪れる「妖怪の町」、

いやが上にも期待は高まるのだった。

(つづく)

P1000489.JPG

昨日 紹介した「妖怪道五十三次・戸塚」のフィギュアバージョンです。



























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