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あんたこの底辺職場どう思う(前編) [はたらく おっさん]

カテゴリー「はたらくおっさん」

それはイロドリが勤務する清掃会社が仕事に入らせて
もらっている、某・総合病院での日々を描くシリーズ
である。

現在、責任者とは名ばかりで何の権限もない主任、
イロドリの下で毎日の病院清掃の業務に勤しんでいる
メンバーは計13人。女性11名、男性2名。
そのうち2人は障碍者支援センターみたいな所からの
紹介で会社が採用した女性たちで、残りは職安を通して
やって来た人たちなのだが、時給が安過ぎるせいか、
殆ど全員が何かしらの重大な問題を抱えてて、他所の
会社はおろかウチの会社の他の部署ですら使い物に
ならない 「ワケあり集団」だった。

言い方は悪いが、他所で使い物にならないような人達が
10数人もいると、それはそれは毎日大変である。
しかもこんな問題児みたいな連中をイロドリ1人に
押し付けておいて、会社は全く知らん顔で、完全に
丸投げ状態になっており、もうホントに
「掃除屋=底辺の仕事」というイメージを裏切らない
目を覆いたくなるような毎日で、常に何かしらの
問題が起きている。

今回の事件は・・・


数週間前のある日、ウチと同じく病院から委託されてる
別業者の女性から相談を受けた。
聞けばその業者さんの女性数人のうちの1人が、ウチの
チームのマサル君 ( 仮名 ) にストーカーまがいの接し方
をされていて困っているので何とかしてほしい、との
ことだった。

「またか・・・」

マサル君を採用して今年でもう6年になる。
実は彼はこの病院に勤務してた看護師さんの息子で
「息子が仕事がなくて困ってる。アンタのとこで
 使ってもらえないだろうか」と頼まれて
まあこの看護師さんの息子だったら、そんな変な奴
ではないだろうと判断し、重いものを持つ男手も
必要だったこともあり、会社には事後承諾で
本人に会う前に私が採用を決めてしまったのだ。

入ってきてはすぐ辞めてゆく人の多いこの仕事
( というかウチの会社 )で6年といえば立派な重鎮であり
貴重な男性の戦力でもあり、本来なら私の右腕として
副主任になっていてもおかしくない立場なのだが
実際は6年経っても未だに彼の行動には常識レベルでの
苦情が後を絶たず、毎日同じことを注意しなければ
ならない非常に危険な「クレーム製造機」なのだった。

例えば・・・

患者さんのいる病室の掃除に入る際、ノックも挨拶も
せずに入って、了解も得ずに仕切りのカーテンを開けて
黙って掃除しだした。

とか

車いすやベッド、食事の配膳車などが通路に並んでて
明らかに清掃カートは通れないだろうと、アホでも
わかる狭い隙間を無理矢理に通ろうとする。

とか

エレベーターを使用する際、すでに数人の先客が乗って
いるにも関わらず無理矢理に無言で清掃カートごと
乗り込もうとしたり・・・
しかもその清掃カートに積んでるのは大量の使用済み
紙おむつなのだ。

等々、他にも細かく言い出すとキリがないくらいに
しょっちゅう何かしらやらかしていて、いつ病院側から
最後通告がきてもおかしくない、ヒヤヒヤものの毎日が
気がつけばもう6年も続いていた。

誰が見ても、どう考えても彼には向いてない仕事なのだが
致命的なのは、マサル君は他人と会話が出来ないという
ことだった。
しかもちょっと難しいことを頼んだり、こちらの口調が
少しでも問い詰めるような感じになると「アワワ・・・」
とパニックになってしまう。

最初に会った時からそれは嫌というほど思い知らされた
ので、なるべく患者さんや職員さんに接する機会が少ない
仕事を考えて任せていたのだが、時給が安いうえに内容が
キツいのでまともな人がどんどんと辞めてゆき、結局
マサル君にも頼らざるを得ない現状なのだ。

「病院」という現場がら、常に危険きわまりない存在の
マサル君ではあるのだが、仕事は向いてなくても彼は
基本的には真面目で6年の間、一度も無断欠勤や遅刻が
ないどころか、毎日、作業開始の1時間近く前には必ず
出勤していて準備をしてくれている。
ただし、これだけ早く出勤してるにも関わらず昼までの
作業が間に合わない時もしょっちゅうなのだが・・・

真面目に働こうという意欲がある間は、何とか使って
やりたいと思い、苦情が来るたびに代わりに頭を下げて
尚且つ今後は注意するようにと噛んで含めるように
言い聞かせ、まるでその存在を隠すように庇いながら
危ない橋を渡る思いで仕事を任せているのだが、
どうも彼にはあまり響いていないようだ。

そして今回のこの一件である。

「またか・・・」

何ともやりきれない脱力感に襲われながら、その業者の
女性からの相談を聞いた。


(つづく)






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