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看護部長室のコーヒー (はたらくおっさん番外編) [はたらく おっさん]

ちょうど去年の今頃、「はたらくおっさん」という長いシリーズものの記事を書いていた。


アホなウチの会社が、仕事欲しさに「何でもやります!」「全部サービスでやらせて
いただきます!」という、信じられない内容で某・総合病院と契約したおかげで、毎日
奴隷のように扱き使われ、パートの相次ぐ退職や高齢化による人手不足で、現場が
回らなくなってしまい、いよいよ我が清掃チームも壊滅かという追い込まれた限界の
状況の中で奇跡が起こる。
我々の日頃の仕事ぶりに感服してくださった、着任したばかりの新しい看護部長が、
「必要以上に清掃員の方々に負担をかけないように」という御触れを看護師長会議で
正式に決定し、全職員に宣布してくださったのだ。
おかげで何とか最大のピンチは凌ぐことが出来たのだが、実は既にこの時、比べ物に
ならないくらいの更なる試練が、外部(病院)からではなく、内部(パート)によって
引き起こされつつあった・・・。


てな具合で一応、話は幕を閉じ、新たな試練はケリがついてから「続・はたらくおっさん」

として記事にする予定なのですが、まだまだ試練の真っ最中で、この先どのような

結末を迎えるのか予想もつかない現状なのであります。


ということで、今回は「はたらくおっさん」の話の続きは一旦置いといて・・・

本編の中に登場する看護部長という方は、この時、我々清掃チームの最大のピンチを

救ってくれただけでなく、その後も責任者である私は勿論、パートのおばちゃん達にも

常日頃から声をかけて下さり、私に対しては月1回くらいの割合で看護部長室に招いて

くれて「いつも大変ねえ、最近どう?職員は協力してくれてる?あなた達が縁の下の

力持ちで病院を綺麗にしてくれてることに本当に感謝してるって皆に伝えてよ」という

労いの言葉と共に、コーヒーをいれて下さるのだ。

自分の組織の部下達を大事にするトップは珍しくないかもしれないが、直接には関係

のない、外部の下請け業者、その中でも末端の掃除屋に対して、ここまで意識を

持って接してくれる人というのは、そう多くはないはずだ。


掃除屋という職業も、今でこそクリーンスタッフなどと呼ばれファーストフード店並みの

制服で仕事内容のイメージも変ってきつつあるが、あくまでも経営者に意識や意欲の

ある会社であれば、の話だ。

ウチのように、仕事をとる時だけ「何でもやります!」などと調子の良いことを言って

おきながら、契約したら後は知らん顔、従業員を安い賃金で扱き使ってボーナスは

おろか責任者手当てすら出さず、自分達夫婦だけこれ見よがしに贅沢している

バカ社長の会社では、いつまで経っても「掃除屋なんてちょっとアレな人がする

仕事でしょ」とナメられるのだ。実際、高校生のバイト代より安い時給で朝6時から

過酷な労働を強いられるウチの職場は、若い人がやって来てもすぐ辞めてゆき、

今では65歳以上のおばちゃんか、心身のどちらかに障害を抱えている20~40代

しか居ない。そういうメンバーを尊重しながら、商売敵が虎視眈々と狙う「病院」

というオイシイ現場を責任者として守ってゆくのは至難の業である。

ウチのバカ社長夫婦が、どれだけクズ人間かというのは、「続・はたらくおっさん」で

いずれ暴露する予定です(多分、読んでるうちに気分が悪くなりますよ)


話がアチコチに飛んでしまってますが、自分の会社ですらやってることを一切評価

してくれず、孤独な立場の中で、こうして大変さを理解してくれて労ってくれる方が

居るというのは本当に幸福な事だとつくづく痛感する。


今日は、堅苦しい仕事の話ではなく看護部長の趣味である写真の話に花が咲き

実際に撮影した何枚かの写真を見せてくれた。

最近は暑さと倦怠感で心身ともに弱ってる中、こういったささやかな心遣いが

どれだけ有難いかというのは、日々底辺を這うように生きている者にしか

分からない世界かもしれない。

そして、たとえ掃除屋という職業であったとしても、こういった心遣いに応えてゆける

人間でありたいと思うのだ。


看護部長がつくってくれるコーヒーは、いつも市販のインスタントである、しかし、

そのコーヒーは世界一美味く、そして心に染み渡るのでありました。


(おわり)
















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クローヴ

入院していたため、お掃除の方にはとてもお世話になりました。
大変なお仕事だと思います。
by クローヴ (2013-08-02 17:26) 

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