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息子よ、双子を守れ(ニルスとレミー・その9) [ニルスとレミー]

平成24年12月

3日がかりの出産が死産だった疲労か、ニャアコが全てを放棄して眠ってしまってから数時間後。

このまま元に戻らなかったら、この先いったいどうなるのか・・・

夜中、空腹に鳴く双子たちを4姉弟から遠ざけ、ネットで赤ちゃん猫への授乳の仕方を検索している

最中、突如ニャアコが復活し、双子たちを咥えて息子の眠る布団へと潜ると、その中で乳を与え

始めた。

いやー良かった。否、正確に言うと「助かった~!ホッ」というのが本音だった。


こうして無事にこの晩から息子とニャアコ親子の「布団シェア」生活が再開された。

10ヶ月前の、おはぎ4姉弟誕生の際に既に経験済みなので、さほど心配はしてなかったのだが

2~3日様子を見てるうちに、どうも微妙な違和感を覚えた。何が違うのか・・・?

4姉弟の時は、布団の3分の2を息子が寝て、残り3分の1のスペースをニャアコ親子5匹が

生活していたのだが、今回、よく見ると布団のド真ん中に親子3匹が陣取って占拠してるのだ。

昼間は息子は学校で居ないからまだいいのだが、問題は夜だ。

息子はこの時(平成24年12月)小5で、猛烈に寝相が悪かった。

前回は足元にさえ気をつけていれば何とかなったのだが、さすがに今回は厳しい、かといって

布団の予備があるわけでなく、下の方にズラしても気が付くと真ん中に戻っているのだ。

「ダンボール箱か衣装ケースに毛布敷いて猫ハウスみたいにしたらいいじゃん」

と、思われるかもしれないが、前回4姉弟の時、万年床になるのを怖れた妻が猫ハウスを作って

仔猫たちを移しかえていたのだが、ちょっと目を離した隙に「リアル・クロネコ宅急便」と化した

ニャアコが1匹ずつ咥えて運び、結局全員を布団まで戻してしまっていた。

そう、ニャアコは一旦こうと決めたら絶対に「曲げられない女」なのだ。

こうなったらニャアコに防波堤になってもらって、寝相の悪い息子から双子たちをガードしてもらう

しかない。


ところが何と!


夜になるとニャアコはさっさと布団を抜け出して1人だけ別の広いところで気持ちよさそうに

寝てるではないか!

「え~!? なんやねんそれ~! ちょっと待って、どゆこと?どゆこと?」

すわ!育児放棄再びか!? と、戦慄が走ったが、授乳と糞尿の嘗め取りはキチンとやって

くれてるようだった。


・・・最低限のことはやってくれるとはいえ、やはり夜は不安だ。

もう既に4匹生れたうちの2匹は居ない。息子の寝相の悪さで双子が窒息死しようものなら

悔やんでも悔やみきれないだろう、しかしなんちゅう我が儘な「曲げられないオカン」やねん。


で、ニャアコに言っても仕方ないので息子に指令を出した。

「双子を潰さんように寝てくれ・・・頼んだぞ!」

私は仕事先では外ヅラがよく、ホトケの清掃員で通っているが、家では暴君であり、命令は

絶対である。息子に返事を選択する余地はなく、「イエス、ダディ!」と応えるしかないのだ。

(どこの国の親子だよ、こんな会話はしてませんのでご安心を)


数日経つと双子はヨチヨチと歩き始め、やがてノロノロと息子の身体によじ登るようになった。

「アイテテテ・・・ギャハハくすぐったい!イテテテ、ギャハハ」

遠慮なく爪を立てて腹や股間に登ってくる双子たちを追い払おうともせず、息子は痛がったり

、くすぐったがったりしながら眠りにつくのであった。


完全に寝静まった夜中、心配になって息子の掛け布団を捲ってみると2匹の仔猫を身体に

纏わりつけた息子が、まるで「jojo立ち」のような「奇妙な」ポーズで寝ていた。

もともと寝相が悪い息子が仰向けになって腹の上に仔猫を乗せながらおとなしく寝ている姿

は涙ぐましく、しかし父としては少し誇らしかった。

ひょっとしたら、双子の片割れであるレミーが、今、私たち夫婦の布団の中に添い寝しに

入って来るのは、この時の記憶が双子の中に刻まれているのだろうかと思ったりするのだ。


「息子よ・・・双子の成長はお前にかかっている、大変だろうがもうちょっと辛抱してくれ・・・」

祈るような思いで師走の日々が過ぎてゆき、サンタを乗せたトナカイの鈴の音が間近に聞こえ

始めた12月半ば、いよいよ双子は息子の布団を自力で這い出し、4姉弟に自分たちの存在を

「兄弟」として認めさせることに成功した。

晴れて6姉弟となった、ラム、チー、ビジンダー、イーライ、そして双子・・・。

ようやく「家族」になったのだ。


平成24年も残すところ10日足らずとなっていた。


(つづく)
















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コメント 2

bonita

「リアル・クロネコ宅急便」の姿を想像しながら
笑ってしまいました。
動物って人間の思うようにはやってくれないもの
ですが、子猫をつぶさないよう直立不動状態で
寝ていたであろう息子さんにも拍手です^^

楽しい(大変な)猫たちとの暮らし、先が楽しみです!!
by bonita (2013-06-09 09:02) 

青竹

ニャアコにとって、息子さんの布団が一番安心して
子供を寝かせられる場所だったのでしょうね。
お母さんとしては、しばし子守から離れて
まどろみのひと時を楽しんでいたのでしょう。
by 青竹 (2013-06-09 14:22) 

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