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どこかで誰かが・・・(はたらく おっさん エピローグ) [はたらく おっさん]

こうして何とか年明け最初の、そして過去最大のピンチを乗り切ることが出来た。

ここまでが今年の1月下旬の話で、次回からはようやく別の話になります。


その前に・・・

去年の6月の副主任退職から始まった、この「はたらく おっさん」シリーズの、「その後」を

エピローグとして締めくくりにします。


病院側の対応はどうなったかと言うと、最初の方こそ一部の看護助手から

「私らに掃除屋の仕事までしろって言うんか」とか

「一回ささっと掃除したら、すぐにどっかに逃げて、こんな手抜きするんやったら、今度は

ウチらが看護部長に訴えたるからな」

と、敵意剥きだしで言われたりしたが 日にちが経つにつれ徐々に順応していってくれた。

勿論、我々清掃員側もただ好意に甘えるだけでなく、これまで以上に丁寧に掃除したし

時間が許す限り協力もした。

元々、病院で働けることに感謝の気持ちはあったし看護士・看護助手の仕事が大変なのは

間近で見ていてよくわかっていたから、出来ることは手伝いたいという気持ちはあるのだ。

そして以前も書いたが、何より少しでも綺麗な病室で患者さんや付き添いの方に安心して

もらえるよう、職場の全員が更に頑張ってくれていた。


病院の総務も、最初こそ態度は酷かったが年々軟化してゆき、相変わらず時々急に

エキセントリックになるものの今回の一件を経て今では良き理解者であり、協力者になって

くれつつあった。


看護部長も、その後も事あるごとに 「ちゃんと決めたことは守ってもらえてる?」、

「パートの皆は疲れてない?」と意識してくれて、言葉だけでなく出張に出た際に土産を買って

きて下さったり、ついこの間は大きなスイカを差し入れして下さったりした。

組織の末端まで大事にする責任者は沢山いるだろうが、外部の下請け業者にここまで

心配りしてくれるトップはそうそういないだろう。

一番大変な時期にこういう意識の高い方が着任して下さったのは、ちょっとした奇跡だった。


それに引き換え・・・

今回、下手すれば会社自体が大打撃を被っていたかもしれない一大事を、自分達の力だけで

凌ぎきったにも関わらず、その会社からは職場にも私個人も何一つ報酬や評価や労いは一切

無かった。


・・・というかこの会社に入ってから一円のボーナスももらったことがないし昇給はおろか責任者と

しての手当てすら付いた事がなかったのでハナから期待はしてなかったが、これまた意外な

ところから嬉しいサプライズが用意されていた。


ある日、院内の通路を歩いていると、上品な年輩のご婦人に声をかけられた。

「ちょっと、あなた・・・あなたにねえ言っておきたいことがあるのよ」


うわちゃ~・・・これは普通、まず100パーセント苦情のパターンである。

「あぁ、すみません、またウチのが何かやらかしましたか?」

が、違った。

ウチのパートのおばちゃんがとった、とある さりげない行動を見てて感動したと言う、

「でへへ、有難うございます、ウチのおばちゃんらは皆、ホントに真面目で働き者です

からねえ、ハナが高いですわ」

と照れながらお礼を言うと、

「それはね、きっと責任者のあなたの指導がいいからよ、私ネあなたのファンなのヨ」

と言って下さった。

そしてそれだけでなく「あなたが居る会社なら、きっと信用できるわ」と言って

長期入院されてるご主人が退院された時、綺麗な家で迎えられるようにと

ハウスクリーニングの仕事を任せて下さったのだ。


私は霊能者でも敬虔なクリスチャンでもないので、この目で神様の姿を見たことは無いが、

おそらく私のような鈍い人間の前に神様が姿を現す時はきっとこんな感じなのだろうと思った。


「どこかで誰かが見ていてくれる」

日本一の斬られ役こと福本清三さんの著書のタイトルであり、青竹さんもコメントで残して

下さった言葉であり、私の好きな言葉でもある。

この時ほどこの言葉を実感したことはなかった。

凡人の人生なんて、まず思ったようにはならないし、大きな奇跡も起こらない、それでも

一生懸命 生きていれば、ささやかなご褒美くらいはきっと準備されてるのだろう。


今回、えらい思いをした割には一円の得にもならなかったが、お金には換えられない

大きな収穫を得たような思いで、この騒動は幕を閉じたのであった。

(おわり)

「はたらく おっさん・完」


最後に 本来、病院で働く方々は、ほとんどが立派な方であり清掃員に対しても腰が低く

人として対等に接してくださる方も多くおられます。

もし、今回のこの記事で不快な思いをされた方がおられましたら心よりお詫び申し上げます。

申し訳ありませんでした。


















































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コメント 1

青竹

看護部長は出来た方だと思いますが、そういう人ほど
努力し誠意を見せない人に対しては厳しいものです。
irodoriusagiさんの日頃の誠意が通じたからこそ
それに応えてくださったのでしょう。
そしてご婦人の方もそんな働きを見てくださっています。
人は常に自身の行動を見られている。
だからこそ、真面目に偽りの無い人生を送るべきである。
私はそう思います。
本当に良かったですね。
by 青竹 (2012-07-24 18:41) 

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