SSブログ

祝・5ヶ月記念 「放尿息子の帰還 (前編)」 [記念日]

「あなたがたはどう思うか。ある人に百匹の羊がおり、その中の一匹が迷い出たとすれば、

九十九匹を山に残しておいて、その迷い出ている羊を捜しに出かけないであろうか」

                                (マタイによる福音書 第18章12節)




7月某日

珍しく静かな朝だった。

いつもなら目が覚めると同時に、既に待ち構えていたニャアコが近づいてきて顔を擦りつけ

外に出せとしつこくせがみ、4匹の子猫たちが家の中を全速力で走り回りながら、所狭しと

じゃれあってる時間のはずだった。


ゆっくり朝食を食べるのも久しぶりだった、時間にも気持ちにも余裕があったので、ケータイ

を片手にヤホーの星占いをみると私の星座は「今日の運勢」で1位だった。

うーむ、これは縁起がいい!今日は何かいい事があるかもよ、フフフ・・・

そう思いながら朝食を終え、洗面して出勤すべく居間を出た。


「あーーーーーーーーーーーー◎※■☆▲▽▼¥~~~~!!!!」


なんと玄関の戸が開いてるではないか!

昨日、夜遅く帰ってきた時、疲れ果てて鍵をかけるのをうっかり忘れてしまってたのだろう、

ニャアコが器用に戸を開けて脱走してしまっていた。

どおりで静かなわけだ、以前、一度全員が脱走してしまった事があったが、その時は5匹

全員が居なかったのですぐにわかったのだが、今回は朝起きた時に子猫が2匹居るのを

見ていたのですっかり安心しきってしまってたのだ。


大急ぎで玄関から外に出て辺りを見回すが、近くに気配はなかった。

仕方がないので中に戻ってニャアコ以外に逃げた奴がいないか確認する、とりあえず

家に居るのは ブルー(仮名)と チー(仮名)の2匹だけだった。

ニャアコと ビジンダー(仮名)、そして四姉弟中、唯一の雄猫の イーライが脱走したのか・・・


出勤ギリギリまで近くを捜したが誰1人見つけることが出来ず、仕方なしに家を出た、

職場である病院に着いても気が気でなく、妻が出勤する直前の時間に電話をした。


妻の報告によると、ニャアコはその後、当たり前のように自分だけ帰ってきたようで、ビジンダー

は最初から家のどこかに隠れてたみたいだった、結局 イーライだけが最後まで戻ってきてない

との事だった。

ますます気が気でならなくなってしまった。


ひょっとしたら家族全員が出払った後、ひょっこり帰って来てるのではないか、カラ梅雨の

炎天下の中、締め出しをくらって家に入れず鳴いてるイーライの姿を想像し、昼休憩になった

瞬間、急いで家に帰ったが 戻ってきてる形跡すらなかった。


更にひょっとしたら・・・と期待を込めて仕事が終わってから家に急いで帰ったが、やはり

イーライは戻ってなかった。


7月になってからは陽が落ちるのが長くなった、明るいうちはウチの周りも人が多いので

多分、出てこないだろうと思い、暗くなるのを待った。


夕食の場で家族全員が イーライのことを心配していたが、意外にも一番落ち込んでいたのは

妻だった。

他の3匹と違い、布団や毛布の上に遠慮なくシッコしまくるイーライは妻の天敵だった。

「もう!お父さん!イー、またシッコしてるやん!もー猫いらんわ、ホンマにいらんわ・・・

どっか旅に出たらええのに・・・ホンマにいらんわ・・・あー臭せ」

というのが毎日の口癖で、実際いなくなってホッとしてるのかと思いきや

「どこいったんやろね・・・早く帰ってきたらええのに・・・今どうしてるんやろねえ、帰り道が

わからへんのと違うかなあ」

と、心配で心配でしかたないみたいだった。


夕食が済み、ようやく外が暗くなってきたころ第一次捜索隊が出発した。

が、この日は月が出ておらず、実際に陽が落ちると真っ暗すぎて何も見えなかった。

「イーや~!イーライー!」

名前を呼んだり、口笛を吹いてみたり、舌をチッチッチッと鳴らしてみたりしたが全く反応は

なかった。

一旦、家に入り11時頃に今度はニャアコを連れて第二次捜索隊が出発する。

ニャアコの鳴き声に反応して戻ってくるのに賭けたのだ。


しかし2時間近くニャアコと外で待っていたが、結局ウンともスンとも反応はなかった。


この真っ暗闇の中、イーライは怖い思いをしてないだろうか・・・

用水路に落ちたり車に轢かれたりしてないだろうか・・・

母親や姉妹を思い出したり腹をすかして泣いてないだろうか・・・


家族の心配をよそに無情にも夜が明け、朝がやってきた。

イーライは帰ってこなかった。

(後編につづく)

P1000575.JPG

放蕩息子ならぬ放尿息子 イーライ・・・
一体どこへいったのか、
ちゃんと帰ってこれるのか・・・

「タイトルで思いっきりネタバレしてるけどね」(ニャアコ)
























nice!(4)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 4

コメント 2

青竹

マメのことでは、ご心配いただきありがとうございます。
昨日の夕方ベランダで何事も無かったように寝ていました。
イーライ君、手間のかかる子ほど可愛いということのようですね。
でもどの子でもいなくなると心配でたまらず心臓が早鐘のようになって油を塗られたような気持ちになります。
by 青竹 (2012-07-17 12:01) 

irodoriusagi

ぼんぼちぼちぼちさま 
はじめまして、ご訪問ありがとうございます。

空楽さま
ありがとうございます。
空楽さんちのニャンコ達は表情が豊かでいつも
感心させられます。
本当に人間顔負けですよねー。

青竹さま
いつもありがとうございます。マメちゃんも無事に
戻ってきてよかったですね、ウチのチーにそっくり
なので心配してしまいます。車にだけは気をつけて
あげてほしいです。
ずっと元気に育ちますように。

ちろるさま
お待ちしておりました。
こうしていろんな方が訪問してくださるようになったのも
、ちろるさんのおかげです。今後ともよろしくお願いします。
by irodoriusagi (2012-07-17 22:59) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。