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息子よ、双子を守れ(ニルスとレミー・その9) [ニルスとレミー]

平成24年12月

3日がかりの出産が死産だった疲労か、ニャアコが全てを放棄して眠ってしまってから数時間後。

このまま元に戻らなかったら、この先いったいどうなるのか・・・

夜中、空腹に鳴く双子たちを4姉弟から遠ざけ、ネットで赤ちゃん猫への授乳の仕方を検索している

最中、突如ニャアコが復活し、双子たちを咥えて息子の眠る布団へと潜ると、その中で乳を与え

始めた。

いやー良かった。否、正確に言うと「助かった~!ホッ」というのが本音だった。


こうして無事にこの晩から息子とニャアコ親子の「布団シェア」生活が再開された。

10ヶ月前の、おはぎ4姉弟誕生の際に既に経験済みなので、さほど心配はしてなかったのだが

2~3日様子を見てるうちに、どうも微妙な違和感を覚えた。何が違うのか・・・?

4姉弟の時は、布団の3分の2を息子が寝て、残り3分の1のスペースをニャアコ親子5匹が

生活していたのだが、今回、よく見ると布団のド真ん中に親子3匹が陣取って占拠してるのだ。

昼間は息子は学校で居ないからまだいいのだが、問題は夜だ。

息子はこの時(平成24年12月)小5で、猛烈に寝相が悪かった。

前回は足元にさえ気をつけていれば何とかなったのだが、さすがに今回は厳しい、かといって

布団の予備があるわけでなく、下の方にズラしても気が付くと真ん中に戻っているのだ。

「ダンボール箱か衣装ケースに毛布敷いて猫ハウスみたいにしたらいいじゃん」

と、思われるかもしれないが、前回4姉弟の時、万年床になるのを怖れた妻が猫ハウスを作って

仔猫たちを移しかえていたのだが、ちょっと目を離した隙に「リアル・クロネコ宅急便」と化した

ニャアコが1匹ずつ咥えて運び、結局全員を布団まで戻してしまっていた。

そう、ニャアコは一旦こうと決めたら絶対に「曲げられない女」なのだ。

こうなったらニャアコに防波堤になってもらって、寝相の悪い息子から双子たちをガードしてもらう

しかない。


ところが何と!


夜になるとニャアコはさっさと布団を抜け出して1人だけ別の広いところで気持ちよさそうに

寝てるではないか!

「え~!? なんやねんそれ~! ちょっと待って、どゆこと?どゆこと?」

すわ!育児放棄再びか!? と、戦慄が走ったが、授乳と糞尿の嘗め取りはキチンとやって

くれてるようだった。


・・・最低限のことはやってくれるとはいえ、やはり夜は不安だ。

もう既に4匹生れたうちの2匹は居ない。息子の寝相の悪さで双子が窒息死しようものなら

悔やんでも悔やみきれないだろう、しかしなんちゅう我が儘な「曲げられないオカン」やねん。


で、ニャアコに言っても仕方ないので息子に指令を出した。

「双子を潰さんように寝てくれ・・・頼んだぞ!」

私は仕事先では外ヅラがよく、ホトケの清掃員で通っているが、家では暴君であり、命令は

絶対である。息子に返事を選択する余地はなく、「イエス、ダディ!」と応えるしかないのだ。

(どこの国の親子だよ、こんな会話はしてませんのでご安心を)


数日経つと双子はヨチヨチと歩き始め、やがてノロノロと息子の身体によじ登るようになった。

「アイテテテ・・・ギャハハくすぐったい!イテテテ、ギャハハ」

遠慮なく爪を立てて腹や股間に登ってくる双子たちを追い払おうともせず、息子は痛がったり

、くすぐったがったりしながら眠りにつくのであった。


完全に寝静まった夜中、心配になって息子の掛け布団を捲ってみると2匹の仔猫を身体に

纏わりつけた息子が、まるで「jojo立ち」のような「奇妙な」ポーズで寝ていた。

もともと寝相が悪い息子が仰向けになって腹の上に仔猫を乗せながらおとなしく寝ている姿

は涙ぐましく、しかし父としては少し誇らしかった。

ひょっとしたら、双子の片割れであるレミーが、今、私たち夫婦の布団の中に添い寝しに

入って来るのは、この時の記憶が双子の中に刻まれているのだろうかと思ったりするのだ。


「息子よ・・・双子の成長はお前にかかっている、大変だろうがもうちょっと辛抱してくれ・・・」

祈るような思いで師走の日々が過ぎてゆき、サンタを乗せたトナカイの鈴の音が間近に聞こえ

始めた12月半ば、いよいよ双子は息子の布団を自力で這い出し、4姉弟に自分たちの存在を

「兄弟」として認めさせることに成功した。

晴れて6姉弟となった、ラム、チー、ビジンダー、イーライ、そして双子・・・。

ようやく「家族」になったのだ。


平成24年も残すところ10日足らずとなっていた。


(つづく)
















取り戻した母性(ニルスとレミー・その8) [ニルスとレミー]

双子が生れた時に一番心配だったのは、4姉弟たちがどのような反応を示すか、という

ことだった。

10ヶ月違いで生れた小さな物体を、自分たちの弟や妹として判別出来るのだろうか・・・

判別出来たとして、傷つけようという意図は無くてもジャレてるうちに爪や歯で命を奪う

ようなことになってしまわないか・・・


そして生れた時からもう既に興味深々で、隙あらば・・・と布団に顔を突っ込んでいたのを

双子の母であり、4姉弟の母でもあるニャアコがガードしていたのだが、今やその母は

放心状態で抜け殻のようになって眠ってしまっている。

ニーニー鳴こうが、イーライが咥えて連れ去ろうが全く無反応である。

最悪だ。

とうとう私たち家族が寝る時間になってもニャアコは動かなかった。

ひょっとして本当に死んでしまってるのでは、と心配になって身体を擦って名前を呼んでも

面倒くさそうに生返事をするだけだった。


とりあえずニャアコ不在の布団に赤ちゃん猫たちだけを残しておくのは危険な感じがした

ので、プラスチック製で底の深めの衣装ケースに移し変えて、私が監視することにした。


・・・そういや最後に双子たちにニャアコが乳をやったのは何時間前だ?

う~ん、やはりこういう場合は俺がミルクを作って飲ましてやらないといけないんだろう。

全くの予想外の事態だったので、何をどうしてよいのかわからず、結局、ネットで調べる

しかなかった。

だが、その間も チーとイーライが入れ替わり立ち代り、興味深そうに上から覗いてくる。

「こら!あっち行っとけ!シッ!」

ネットで授乳の仕方を探しつつ、チーやイーライを追っ払いつつ、いろいろな不安が頭を

よぎる・・・

今夜のピンチは凌げたとして、このままニャアコが正気に戻らなかったらどうなるのか?

明日は平日で私も妻も仕事だ、まさか仕事先である病院に、生れて間もない仔猫たちを

連れて行って休憩室でミルクをやるのか?・・・無理だ。

障子と襖ばかりの(それも全部破られてる)我が家で唯一、ドアになってる「貴重品倉庫」

に無理矢理ニャアコと仔猫たちを閉じ込めておくか?ムムムム・・・

あまりいいアイデアではないが、それしか道は残されてないような気がした。

しかし、問題はいかにして今夜を乗り切るかだ・・・


と、その時!


一陣の黒い影が目にも止まらぬ速さで衣装ケースに飛び込んだかと思うと、捕まえる

ヒマもなく1匹の赤ちゃん猫を咥えて、あっと言う間に飛び出してしまった。


「うわっ!チクショー!ついにやりやがった!誰や?またイーライか!?」

あまりの素早さに対応できず、一瞬呆気にとられてしまったが、すぐさま追いかけようと

すると、意外にもその黒い影は咥えていた赤ちゃん猫を、息子が眠る布団の上に置くと

何故か私に向かって挑発的に「ニャー!」と鳴いた。


黒い影の正体・・・何とそれはニャアコだった。

「ニャアコ~!復活したんかーよかった~!」

しかし喜ぶ私には目もくれず、ニャアコはすぐさま残りの赤ちゃん猫を咥えて、息子の

布団に放り込むと最後に自分も入っていき、布団の中で乳を与え始めた。

ニャアコ自身が潜ってゆく時、ようやく私の方を見て逆ギレ気味に「ニャー!ニャー!」と

鳴いていた。どう好意的に翻訳してもお礼やお詫びをいってるようには聞こえなかった。


う~ん理不尽だ。なんでこんなに心配した挙句に逆切れされんとアカンのか。

まあしかし職場で十何人ものオバハンらを束ね、常に底辺の人間模様を垣間見てる

私にとって逆切れ・逆恨みは日常茶飯事である。ニャアコの逆切れなんて可愛いもんだ。

それに何よりニャアコが元に戻ってくれて本当に良かった。

第4子の死産からニャアコの放心状態、そして復活と、時間にしてわずか数時間では

あるが、何とも長く不安な数時間であった。


またすぐこんな状態になったらどうしようかと心配してしばらく様子を見ていたが、

その後は4姉弟の時と同様、息子の布団の下半分を折半して親子で塒にしていた。


いやー良かった良かったと安心したのも束の間、一難去ってまた一難、今度はまた別の

心配事が待ち構えているのでありました。

(つづく)


































ニャアコよ目を覚ませ(ニルスとレミー・その7) [ニルスとレミー]

夕方に4匹めを死産したニャアコは、その夜、様子がおかしかった。

双子たちの居る息子の布団に寄り付こうとせず、私たち家族が夕餉を囲む居間でグッタリと

寝そべっていた。

「おい、ニャアコ、赤ちゃんたち鳴いてるぞ。乳やらんでええんか?」

「・・・・」

どれだけ向こうのほうで赤ちゃん猫が鳴いていても、動く気配がない。

のらんさんや青竹さんがコメントで書いてくださってるように、猫は生きてゆく力のない者は

本能で淘汰してゆくぐらいなので、子供が死産だったという精神的なシヨックというより、双子が

生れてから2日近くも腹の中にまだ入っていたという体力的な消耗のほうが大きいのだろう。

「ニャアコ、大丈夫か?おい」

「・・・・」

全く返事もない。

しばらくして、ようやくヨロヨロと私のほうに近づいてきたので、夕飯の最中だったが抱き上げて

私の胡坐のなかに置いてみた。

もともと、ニャアコは抱っこされるのと写真を撮られるのを異常なまでに嫌がる。

我が家に住み始めて今現在1年半になるが、膝の上に乗ったのは去年の夏ごろの記事の

「アカチャンダッコ」の時と、この時だけだ。

「珍しいなあ、それになんか弱ってるみたいやし、ニャアコもう死んでまうんちゃうの?」

家族も珍しがって心配しつつ縁起でもない冗談を言った。

「アホか!」

しかしあながち冗談だけではなさそうだ、ニャアコは胡坐の中を嫌がって逃げるどころか、微動

だにしない。

その姿は育児放棄というよりも生きることそのものを止めてしまってるように見えた。

・・・と、その時、イーライらしき影が布団の中から仔猫を1匹、ひっぱりだして咥えたまま

何処かへ走り去ろうとしているのが見えた!

なにやってんだ、あのバカ!ネズミか何かと間違えて、いたぶろうとしてるのだろうか?

自分の弟か妹(この時点ではまだわからなかった)だというのがわからないのか!?

胡坐の中に居たニャアコを畳みの上に降ろし、イーライを追いかけて廊下の隅に追い詰めて

なんとか仔猫を取り返した。

この一連の出来事にもニャアコは無関心で、心配して仔猫たちのいる布団に戻ろうともしない。

おい!ニャアコ!しっかりしてくれ!気持ちはわかるがこのままやと大変やぞ。

「・・・・」

いったいどうしちまったんだ、おい、目を覚ませ、ニャアコー!


(つづく)


















悔恨 (ニルスとレミー・その6) [ニルスとレミー]

双子がこの世に生を受けたのは私と妻が寝る布団の中だった。

なぜ前回同様、息子の布団で産まなかったのかは分からないが、さすがに1枚の布団に

大人2人とニャアコと仔猫2匹で寝るわけにはいかないので、布団を息子のものとチェンジ

することにして、ニャアコ親子が中に入ったまま子供部屋まで運んで行った。

小5の息子と、ニャアコ親子との布団のシェア生活は、4姉弟の時に既に実践済みだった

ので、余程ニャアコがへそを曲げない限りは問題は無いはずだった。


いや、大問題があった。

今や生後10ヶ月になり、連携プレーでネズミを狩るまでに成長した4姉弟が、生れた

ばかりの双子に対し興味深々なのだ。


翌朝、さすがに子供達も学校に行かないといけないので、とにかく布団が捲れて4姉弟が

入り込まないように気をつけて各々出勤・登校した。

何とかその日も無事に終わり、今回は2匹だけの出産だったのかと不思議に思いながら

迎えた3日めの朝、目が覚めて息子の布団を見に行くと、布団から少し離れた畳の上に

仔猫が1匹、置き去りにされていた。

「!」

急いでまだ寝ている息子の布団を捲って見ると、何故かニャアコと2匹の仔猫が・・・

「?」

狐につままれたような思いで、もう1度よく見てみた。

それはどうやら今回ニャアコが生んだ3匹めの仔猫らしかった。

双子が生れてから丸1日以上、ニャアコのお腹の中に居たままだったのだろうか、

そしてなぜ布団の外に放り出されていたのか?

12月の寒い早朝だ。触ってみると、もうかなり身体が冷たくなっていた。

ひょっとしたら、もうダメかも・・・と思いながらもニャアコと双子が眠る布団の中に入れて

仕事に出た。

帰宅して半ば諦めながら息子に様子を来てみると、意外にもなんとか持ち直したみたい

だった。

驚いたことに、帰宅してその報告を聞いた、約1時間後にニャアコは更にもう1匹産んだ。

娘たちと話をしていると、隣の部屋で宿題していた息子が半泣きになりながら

「お父さん、大変や!大きいほうの子供が赤ちゃんを・・!」と叫んでいたので、驚いて

駆けつけてみると、確かに血らしきもので濡れた猫の赤ちゃんが、これまた布団の外で

グッタリしており、触ってみてももう明らかに生きていなかった。

ついさっき3匹の無事を確認したばかりなのに、たった十数分の間に姉や兄に襲われた

というのか?ニャアコは一体その間、何をしていたのか・・・?


やるせない気持ちで、襲われたのが誰なのか確認するため布団を捲った。

「・・・?」

布団の中には、ちゃんと3匹の仔猫が鳴いていた。

「1,2・・・3・・・」何度数えても3匹だ。

ではこの亡骸は一体・・・?

信じられなかったが、どうやらニャアコがつい先ほど産んだ4匹めのようだった。

双子の誕生から数えて2日めのことである、結局3日がかりで4匹の子供を産んだことに

なる、こういうことはよくあることなのだろうか?


そして最初に書いたように、この死産だった4匹めだけでなく、せっかく持ち直した3匹めも

この数日後に星になってしまった。

私の不注意である。

ニャアコは、これまでに9匹の黒猫を生んだ。

そのうち現在、元気なのは4姉弟と双子の6匹である。

4姉弟と共に生を受けながら2日後に死んでしまった子と、今回死産だった子はまだ諦め

がつくのだが、この3匹めの子に関しては、私がもっと注意して接していれば今も元気

だったかもしれないと思うと悔やまれてならない。

このブログで、どれだけアホな記事を書いていても、心の片隅には常にその子への申し訳

ない気持ちが常に棘のように刺さっている。

多分、それはこれからも消えないだろうし、命に責任を持つ者として忘れてはいけないと

思っている。

(つづく)










大変な一年の締めくくり(ニルスとレミーその5) [ニルスとレミー]

平成24年は個人的に大変な一年だった。

まったく事情もわからないまま、町内の体育部長を無理矢理押し付けられていたので、ある程度

覚悟はしていたが、年明け早々に職場がえらいことになり、それを乗り越えたと思ったら更に

それ以上の壊滅的な状況に陥ってしまった(そして何とその状況は現在も継続しているのだ)

そこに「おはぎ4姉弟」の誕生があったりして、人生の中でも忘れられない1年がまもなく終わろうと

していた12月、ニャアコの第5子と6子が産声をあげた。


1年ちょっと前まで猫に触ったこともない私にとって、自宅で猫が出産するというのは一大事だった。

しかも1年間で2回も。


4姉弟の誕生は深夜、もしくは早朝だった。仔猫たちの産声で目が覚めたものだ。

部屋の中に居ても凍てつく2月の寒さの中、出産という大仕事をなし終えたニャアコが、カーテン

から差し込む月の灯りを受けて余裕の毛づくろいをしている姿、懸命に産声をあげる5匹の

生れたばかりの新しい命、そして1匹だけたった2日間で星になってしまった兄弟・・・

自分の娘たちや息子が生れた時とはまた違った生命の誕生の喜びと感動に満ちていた。


それに比べて今回の双子の出産は夕食時の忙しい時間帯で子供たちはテレビを見たり

宿題をしたり、何より親であるニャアコよりも大きくなった4姉弟たちが狭い我が家を走り回って

いる真っ最中の誕生だった。


この雑然とした環境が影響したのか、双子を出産した直後のニャアコの様子もおかしかった。

第一、前回は5匹も産まれたのに今回はたった2匹なのだろうか?

1年の終わりにまで「まさか」の事態に見舞われ、この先一体どうなるのかという混沌とした中、

翌晩に3匹めが、さらにその翌晩に4匹めが生れた。


しかしこの2匹は共に育つことは出来なかった。


(つづく)












双子、誕生す(ニルスとレミーその4) [ニルスとレミー]

平成24年12月3日、午後7時半頃・・・

一旦、仕事から帰って夕食までの間、無断で乗って帰った会社の車の中でウトウトしていたら、

ケータイが鳴った。

妻からだ。

「もう、お父さん今どこ?ニャアコ子供が産まれそうやで、早よ帰ってきて!私しゃ知らんからね!」

夕食の準備をしていた妻の声は、ややキレ気味だった。


「う~、ニャアコの奴、やっぱり妊娠だったか・・・しかしこんな変な時間に産むのか?」

妻からの電話を切って、家路に向かう最中、しみじみと思った。

おはぎ4姉弟の誕生からわずか10ヶ月足らず、こんなに早く、そしてまさかニャアコが2度目の

出産をするとは信じられなかった。

2月に生まれた4姉弟に、最初の発情期が訪れ、最悪の姉弟間の妊娠を阻止すべく、何とか

唯一のオスのイーライを去勢し、子供たちは完全室内飼いにして、あとはニャアコの脱走さえ

気をつけていれば、これ以上我が家に猫が増えることはないだろうと安心していたが甘かった。


1ヶ月ほど前からニャアコがふっくらしはじめた時、妻は真っ先に妊娠を疑ったが、私は違うだろう

と思っていた。

4姉弟の時は腹が床につきそうなくらいデカくなっていたし、脱走した際に一晩中帰って来なかった

ことがあったので、それなりに納得もしていたが、今回はそんなに長いこと帰って来ないという

こともなかったし、妻が心配するほど腹もデカく感じなかった。

そして何より発情期を迎えたチーやラムに、イーライが背後から覆いかぶさってる光景が衝撃的

すぎて、こちらを何とかするのに気をとられすぎていたのだ。


今さらあれこれ考えても仕方ないと思いつつ家に帰ってみると、まさにニャアコが分娩中だった。

「ニャアコ、お父さんの布団の中で子供産んどるで」

夕食を食って風呂に入ってすぐ寝れるように早めに敷いておいた私の布団の中で、ニャアコは

いきんでいた。

周りに息子や娘たちがいて気が散って出産に集中できなくなるといけないので、掛け布団を

かぶせて無事に産まれるまでそっとしておくことにした。

そして数十分後・・・

遅い夕食前の、電気が明々と点いている雑然とした中で、新しい生命の産声が聞こえた。

今回も真っ黒い仔猫が2匹。


のちのニルスとレミーである。


(つづく)




続・ニャアコの出産前夜(ニルスとレミー・その3) [ニルスとレミー]

平成24年、ニャアコは1年間で2度、我が家で出産した。

おはぎ4姉弟と、ニルス・レミーの双子である。

同じ母親から生れた6姉弟ではあるが、その誕生は対照的だった。


ラム、チー、ビジンダー、イーライ・・・4姉弟が生れたのは2月17日。

ニャアコの妊娠発覚から、子供たちの誕生まで、すべてが新鮮で神秘的で美しい思い出に

彩られてるのに対し、10ヵ月後に生れた双子の出産は気の毒なくらい雑然としていた。


それは年の瀬も押し迫ろうかという12月、

その前月に、イーライの去勢手術を終え、恐れていた姉弟間での妊娠の兆候もなく、

また、いろいろあった町内の体育部長の役目も、残すところあと最後の役員会での監査を

無事に乗り切るのみと安堵していた、まさにその時、双子はこの世に生を受けたのだった。



辛いことは最初に書いておくが、ニャアコ2度目の出産は双子だけでなかった。

双子が生れた翌日に1匹、更にその翌日にもう1匹が生れたが、この2匹は双子と共に

育つことは出来なかった。

1匹は死産、そしてもう1匹は・・・

死にかけで生まれ、数日間なんとか頑張って持ち直しかけたのに、私の不注意で死なせて

しまったのだ。


いろんな意味で4姉弟と性格が違っているのは、やはり最初の生い立ちと環境が大きく

影響しているのだろう。



(つづく)


















身の程しらず♪ 怖いものしらず♪ (ニルスとレミー その2) [ニルスとレミー]

「おはぎ4姉弟」と、ニルスとレミーの「双子」

手の折れた招き猫・ニャアコを母に、同じ漆黒の身体を持って生れた4匹と2匹。

双子は現在、生後4ヶ月、チーやイーライたちがこのくらいの時はどうだったかなーなどと

振り返りながら観察してると面白い。

母親とは似ても似つかない、身の程しらずでやりたい放題なのは6姉弟共通なのだが、

今のところ性格が一番勇敢なのはニルスである。

ウチの借家はほとんどが障子で、それもニャアコ一家によって破られて、どこも出入り自由に

なっており、うかつに大事なものを置いとけないので、唯一ドアになってる小部屋にすべての

貴重品や餌を保管してるのだが、腹が減って待ちきれない7匹が部屋の前で待ち構えて

屯し、ドアを開けると同時にバーゲンセールのオバちゃんの如く部屋に雪崩れ込もうとする

ので、わざとドアの前にセッティングした掃除機をかけて、音でビビらせて一旦散り散りに

逃げたその隙にドアを開けて中に入って用事をしたり、餌やら砂を取り出したりするのだが、

なぜか、ニルスだけは掃除機を怖がらない。

それどころか掃除機をかけた状態でノズルを近づけても、逃げるどころか猫パンチで応戦

する始末である。さすがは実在のエースパイロットのを冠するヤンチャ坊主だと感心する。

一方、今の段階で一番人懐っこいのがレミーである。

毎回ではないのだが寝る時に布団に入ってくるのは7匹のうちレミーだけだ。

たまにニルスも後から入ってくるが、暑苦しいのか退屈なのか途中で出て行ってしまう。

何が可愛いかといって、ただ勝手に布団の中に入ってくるのではなく、ちゃんと枕元で

「ニャーン[黒ハート](ねえ、その中って空いてる?)」と伺いをたててから、いそいそと布団の中に

潜り込み、丸まったり虎の毛皮の敷物のように身体を伸ばして眠るのだ。

その萌え度たるや、いきなりMAXに達しており、身体を撫でてやりながら眠りにおちる瞬間、

「俺ァもう、このまま明日の朝、目が覚めなくても本望だぜ~!チックショーメ!」

と、40過ぎのオヤジに天国を垣間見せてくれるのだった。

我が家はビンボーなので、1枚の煎餅布団に夫婦で寝てるのだが、人間の夫婦の間に

仔猫が挟まり「川」の字になるというのは何とも客観的に見ればシュールな光景だ。

しかし、この時ばかりはビンボーも悪くないなと思ってしまう。

(・・・いや、これは貧乏人の負け惜しみだな)


そういうわけで、これから暫くはこの愛すべき双子の誕生から現在までのお話です。

ここに至るまでには辛い出来事もあったのですが、それも含めて読んでいただければ

幸いです。

それでは、はじまり はじまり~[るんるん]

・・・で、いきなり「つづく」


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ニルス  「うわっ、ヤッベー!おい、レミー、もう始まっちゃってるよ、急げ!」

レミー   「イテテテ、押すなよ、バカ!知ってるよ!」

ニルスとレミー [ニルスとレミー]

双子B   「zzz・・・zzz・・・zzz」

レミー・・・レミー・・・

双子B   「zzz・・・?」

おーい、レミー、起きろー・・・

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双子B   「zzz・・・誰かが夢の中で僕を呼んでるような・・・でもレミーって誰?・・・zzz」

お前だよ!喜べ、お前たちの名前が決まったぞー、お前は今日からレミーだよ!

双子B   「え!ホント?」

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イロドリ  「お、起きたな。ホントホント。そんで、お前はニルスだ。良かったなー」

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双子A   「スッゲー!カッチョイー!」

イロドリ  「3ヶ月以上経って、ようやくいい名前が決まって良かったよ」

(双子AB改め)ニルス&レミー 「わーい!バンザーイ!」


・・・ということで、生後3ヶ月目にしてようやく双子の名前が決定しました!

わー!パチパチパチパチパチ

そして!何と!この双子の名付け親は、青竹さんの息子さんと娘さんでーす。

ヒューヒュー!ブラボー!おお・・・ブラボー!!

無茶なお願いを快諾してくださり、素敵な名前をつけてくださって本当に感謝です。

今後ともニャアコや4姉弟同様、よろしくお願いします。


一同    「よろしくお願いしまーす[黒ハート]


さてさて、これで ニャアコ、ラム、チー、ビジンダー、イーライに「ニルスとレミー」が

加わって役者が揃い、「手の折れた招き猫・第3章」も本格的に幕開けです。

今後も細々と続けてゆくつもりですので、よろしければ覗きにきてやってくださいね[黒ハート]


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♪ ずーっと、まともじゃないってわかってーる ♪ 「スピッツ(正夢)」
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