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「死」の誘惑(後編) [「死」の誘惑]

今まで、どんなに辛い事があっても、気持ちの持ち方
一つで乗り越えられる、と思ってやってきましたが、
今回、こんな状況がこれからもずっと続くんだったら、
いっそのこともう死んだ方がマシやな・・・と
はじめて本気で考えました。

これまで何とか乗り越えて来れたのは、やはり
「所詮そのレベルの試練」だったからなのだろうか、
そして本気で「死にたい」という気持ちになるまで
追い詰められなかったり、それを実行することが
なかったのは、決して自分が強い人間だからではなく
「たまたま運が良かった」だけっだたんだな、と
痛感し、自ら命を絶ってしまう人の気持ちや状況が
分かるような気がしました。

幸い、今は落ち着きを取り戻し、我に返った状態
なので、自ら死を選んでしまう人の気持ちは
わかっても、絶対それを認めたり許したりしては
いけないと思っております。

私が、一見、甘美に思える「死」の誘惑から逃れる
ことが出来たきっかけのひとつは、夏から読み始めた
新聞の連載小説「風は西から」の中で、ちょうど
私の心が限界に達そうとする時期に、健介が自殺
してしまったと、いうショックな出来事でした。

相思相愛の恋人と共に、ゆくゆくは尊敬する両親の
跡を継いで実家の料理屋を更に大きくするための
修行の場に和民・・・じゃなくて和民をモデルにした
ブラック居酒屋を選んでしまったばっかりに、心身
ともに追い詰められ、何の落ち度もない、ちょっと
不器用で生真面目な好青年が死を選んでしまった時、
自分の身内が、そして自分自身が理不尽に命を
奪われたような悲しみと怒りが湧いてきました。

実際に起きた和民の裁判をもとにして書かれている
と思われるこの物語は、これから遺された恋人の
千秋が自分を責めながらも、同じく遺された健介の
両親と共に裁判を起こし、勝利する、という展開に
なるのでしょうけれど、裁判に勝っても、愛する
恋人、愛する一人息子は帰ってきません。


いつも思ってるのですが、仮に辛い現実から逃れて
死を選んだとしても、死後の世界が今よりマシという
保証はありません。
死んだ後、もし今より酷い死後の世界だったとしたら
それこそ救われない結末だと思います。

まあ、50近くにもなって便所掃除ばっかりやって
底辺で喘ぐ私が何を言っても、説得力も影響力も
何もないので独り言のお願いという形になりますが
・・・

若い方が自ら死を選ぶのは、何度でもやり直せる
たった一度の人生を、みすみす捨ててしまうような
ものなので、もったいないから絶対やめてほしいと
願います。

年をとって自ら死を選ぶのは、これまでの人生で
築き上げてきたものを、みすみす捨ててしまう
ようなものなので、そんな勿体無いことは絶対やめて
ほしいと願います。

そして、私は基本的に前世や生まれ変わりを
信じない「人生は一度だけ」派 の人間ですが、
何も悪い事をしていないのに、ズル賢く生きる事も
出来ず、相手を傷つけることも出来ずに、自ら命を
絶ってしまった、心優しい人達がもう一度、生まれ
変わって幸せに生きるチャンスを与えてもらえます
ようにと、切に切に祈っております。


こんな下らない戯言を、前編・中編・後編に渡って
読んで下さった方、また、何かの間違いで読んで
しまった方、スミマセンでした。


(おわり)


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yes_hama

と・・・とりあえず、地震は大丈夫でしょうか?
被害の無いことを祈っております。
私の場合は取り急ぎ、飼い猫よりも先に死ぬわけには行かないなどと考えております。^^;
外猫さんなんて、お腹に虫が湧いていても、蚤に血を吸われても必死に生きようとしていますもんネ。
尊敬しちゃいます。
by yes_hama (2016-10-21 19:07) 

irodoriusagi

yes_hama さま

そうなんですよ。
ニャアコを通して、動物は決して生きる事を
諦めないという姿を教えらえたつもりだった
んですが、やはり人間というのは色んな意味で
弱く愛おしい生き物なのだと実感しました。

地震ですが、よりによって日本一小さい県の
ウチの近くが震源地です。
幸い、我が家は倒壊などはなく、家族も
猫たちも無事で、避難もせずに済んでます。
余震がしつこいのと、断水なのは不便ですが
贅沢は言えませんね。

by irodoriusagi (2016-10-23 07:22) 

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