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続・豊かさや便利さの陰で・・・ [雑感]

もう、だ~いぶん前にこのブログで
「雑感・豊かさや便利さの陰で.・・・」という、
町の写真屋さんが閉店した記事を書いたんですが
今回は、私がこの地に引っ越してきた時から16年
以上、ずっと足繁く通った「レンタル&リサイクル」
の店が、跡形もなく完全に消え去ったという寂しい
お話を少し・・・



妻と家庭を出発するのを機に、姫路からこの地に越して
来てもう17年になる。
やって来た当時はあまりのド田舎の不便さと娯楽のなさに
愕然としたものだったが、かろうじて自転車で行ける
範囲内にTSUTAYAが2軒と本屋が数軒、そしてこの
レンタルビデオ兼リサイクルショップがあるというのが
救いであり、心の支えであった。

やがて5~6軒あった本屋が数年で次々と閉店し、
我が家の娯楽のスポットはTSUTAYAと、このリサイクル
ショップの2強がメインになった。
全国チェーンで正統派のTSUTAYAに対し、この店で
レンタルされてたビデオは、映画だけでなくドラマ、
Vシネマ、スポーツ、音楽、アニメ、さらにはAV
(なにサラッと書いとるねんw)に至るまで結構
マニアックで、さらに古本や中古のゲームも
扱っていたり、当時には珍しく貸本までやっていた。
なので、新作のビデオや本ならTSUTAYA、古本やら
昔のマイナーなドラマやアニメならこっちの店、と、
毎日のように立ち寄ったものだった。

県内だけで3店舗、県外にも進出し、ライバルのTSUTAYA
と互いに絶妙なパワーバランスを保ちながら、このまま
ずっとこの町のプレイスポットとして共存し続けるかと
思っていたのだが、世の中のレンタルの主流がビデオから
DVDへと完全に移行した頃から雲行きが怪しくなって
きだした。

早々に全ての商品をDVDに切り替えたTSUTAYAに対し、
この店はいつまでもビデオが並んだままで、新作が旧作
扱いになるまでの期間がやたらと長く、2年近く経っても
「準新作」として新作料金をとられるので、いくら
「旧作1本100円!」と謳ってみたところでいつまで経って
も新作扱いのままだと安くする意味がなかった。

さらに様々な面で変化が起こってゆく・・・

ウチの清掃会社が月に1回、ここの店舗内のワックスがけ
に入っていたのだが、それが2カ月に1回になり半年に1回
になってやがて断られるようになった。
業者を変えたわけではない、清掃代を節約せざるをえなく
なったのだ。
床にワックスの光沢がなくなると全体に清潔感がなくなり、
なんだか少しずつ店の雰囲気も怪しくなってゆくよう
だった。

そしてついに決定的な出来事が。

全く新しい第3勢力のリサイクルショップがライバルと
してオープンしたのだ。

バックに某宗教団体が絡んでるという噂のこのリサイクル
ショップはあくまでも販売のみで、レンタルは一切
やらなかった。古本も質量ともに充実し、折からの美少女
アニメのブームに乗ってフィギュアの買取や販売にも力を
入れて、着々とこの町で確固たる地位を築いていった。

そして今度は数年前に「GEO」がオープンし、いよいよ
レンタル店の群雄割拠時代が到来・・・ではなく
その店は完全に取り残され、一人負け状態になった。

全国チェーンや強力なバックを持つライバル店の華やかな
外観とは対照的に、さらなる経費節減で照明の明るさも
控えめになり、夜中まで開いてた閉店時間も早くなった。
そして1年ごとに私の足も遠のいてゆき、車で店の前を
通ることはあっても中に入ることはなくなっていった。

去年、長女がこの店の近くの高校に入学し、帰りに迎えに
行くことが多くなり、早めに着いた時間つぶしに
久しぶりに立ち寄ってみると、店の前には何故か中古の
車の「タイヤ」が積み上げられ、店内は元からあった古着
コーナーに加え、中古家電や、何だかわけのわからない
置物が所狭しと並べられ、驚くべきことに主力であった
はずのDVD、CD、マンガのレンタルが廃止されていた。
名義上はリサイクルショップだったが、雰囲気としては
昭和の質屋みたいな感じになってしまっていた。

ある日、店の前を通った時に駐車場に車がいっぱい
停まっていたので、客足が盛り返したのかな?と
思って近づいてみたら、何とそれは販売用の中古車
だった。
古タイヤだけでなく中古車まで売るようになり、
すっかり「何屋さんなのか全くわからない」状態と
化し、店の中はいつも閑古鳥が鳴いていた。

こうして徐々に徐々に目に見えて終わりが近づいてゆき
夏休みを待たずに店は遂に閉店してしまった。
時間つぶしに寄って行こうとして駐車場に車を入れると
店の中の物が次々にトラックに運び込まれていっていた。
何とも衝撃的で寂しい光景だった。

せめて建物だけは残して、同じような感じの店が出来る
のか、あるいは起死回生のリニューアルで生まれ変わって
再出発するのかと期待して見ていたが、店舗は取り壊され
更地になった。

面影すら残さず、完全に消えた。

県内にあった3店舗同時に。



まったく縁もゆかりもない、知らない土地にやって来て
そこで騙されて莫大な借金を背負い、不安な日々の中で
この店でビデオや漫画を借りたり立ち読みしながら、心を
落ち着かせていた日々を思い出すと、なんとも切ない
気持ちになる。

次は何が建つのかわからない、更地になったかつての
心の拠り所の跡を眺めながら、最後に写真の1枚でも
撮っておけばよかったかなと思ったりしたが、やっぱり
楽しかった綺麗な思い出だけを心の中に残しておくこと
にしよう。


おわり







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コメント 2

yes_hama

我が地方でもTSUTAYAが閉店してしまいました。
まだ建物は残っていますが、更地になってしまうと
「ん?ここに何があったっけ?」となってしまいます。^^;
最近、なんか更地が増えた気がします。
by yes_hama (2016-09-12 21:56) 

irodoriusagi

yes_hama さま

こちらのTSUTAYAも、日曜の夕方とか
客が全くいない時があって心配になりますね。
(皆、笑点見てんのやろか?w)

ちなみに現在もまだ更地のままですが、
次の看板だけは早々と建ってます。
・・・回転寿司でした(笑)
by irodoriusagi (2016-09-15 21:49) 

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