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変わりゆくもの、変わらないもの [ダレトクヒメジツアー2016]

「さあ、やっと我が心の故郷、姫路に到着だぜ」

「ひょっとして今回も猫カフェにいくつもり?」

「お、ニャアコちゃん妬いてんのか?可愛いねえ」

「・・・40数年間生きてきて今までそんなセリフ
 言う機会がなかったからって猫相手に何寝ぼけた
 こと言ってんのよ。痛々しいわね」

「フハッ」

「で、行くの?行かないの?」

「安心しろよアモーレ、今回はちょっと他に
 寄りたいとこがあるから行かねえよ」

「鳥肌立つからやめなさいって。気持ち悪い」


リバーシティの愛称で親しまれるイオンに車を停め
最寄りの飾磨駅から電車に乗って姫路駅へ。
駅を出てすぐの「みゆき通り商店街」を歩く。


「おかしいなあ、どの辺だったっけ・・・」

「何さがしてんの?」

「いや、去年来た時にこの、みゆき通りに招き猫
 ばっかり売ってる店があって、土産に小さいの
 買って帰って知り合いにあげたら喜んでくれた
 から今回も覗いて行こうかなと思ってな・・・
 う~ん、もう店自体がなくなっちゃったのかな
 ・・・あ、あそこかな?」


微かな記憶を頼りに、ようやくそれっぽい店を
発見し近づいて行くと・・・

「本日休業」

ガーーーーーーーン

「ちぇっ!なんだよこれ、せっかく来たのに~」

「しかし今回はことごとくツイてないわね」

「ま、こんな時もあるだろ。とりあえず城の写真
 撮って、と」

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ピンボケ「白すぎ城」・・・ならぬ「白鷺城」

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今回もまるでCGで人を消したかのようなシュールな
光景(笑)
翌日から3日間に渡って「お城祭り」が行われると
いう事で屋台の準備中です。

いつもの「ライスおかわり自由」の定食屋で
アホ程ご飯をおかわりして、ちょっと気持ち悪く
なりながら電車に乗ってイオンに戻るイロドリ。


「なんか時間的にまだ早い気がするけど、もう
 いつもの場所に行くの?」

「いや、もう1軒、行きたいとこがあるんだ
 ここに住んでた頃、毎日のように通ってた本屋
 なんだ。ここ数年は全然行ってなかったからなあ」

「あら、入り口に張り紙がしてあるわよ
 イベントかなんかで、いつかの路上詩人さんが
 来てたりして」

「んなアホな・・・いや待て、なんだこの荒んだ
 雰囲気・・・ヤな予感がする」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

2016-06-26_19.39.08.jpg

「おい、ちょっと待てよなんだよコレ・・・」


駐車場周辺の人や車の少なさで、ひょっとして
ここも定休日かよ !? と思ったらまさかの店じまい。
姫路の地を離れてすでに17年近くが経っていて、
たまに帰ってくるたびに、いろんな場所が
少しずつ様変わりしてて、それもあるいは仕方ない
と思ってはいたけど、ここの本屋がなくなるのは
ショックだ。
足繁く通った思い出が走馬灯のように過ぎてゆく。


「でも書店事業の再構築でしばらく休業するだけ
 って書いてるんじゃないの?」

「ここ10年くらい、スゲー勢いで本屋がバンバン
 閉店していってるんだよ。たとえ改装して新しく
 なっても、前みたいな店の雰囲気にはならない
 だろうな。あ~ショック」

「なんだかとんだ センチメンタルジャーニーに
 なっちゃったわね」

「これはさすがにこたえるな・・・
 中途半端な時間だけど、いつもの場所に行って
 帰ろうか」


こうして2人が向かった先は・・・

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「秋だとこの時間でももう日が暮れ始めるのに
 今の時期はまだまだ明るいな」

「時間の感覚が全くわからないわね」

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「ここの慰霊碑、ニャアコとダレトクツアーで来る
 までは供えてた花が枯れてるままになってたり
 花を立てる筒が下に転がってたりしてたんだけど
 ここ数年はいつ来ても綺麗な花が供えてあるんだ
 よな」


40数年前、この河の激しい流れに浚われた子供を救助
すべく出動し、殉職された2名の消防隊員。
その内の一人は私の友人のお父さん。
幼い2人の娘と妻のお腹の中にまだ見ぬ三女を残しての
殉職だった。

それから20年後にイロドリはこの場所で、人はたとえ
肉体はなくなっても、愛するものを思う心は決して
滅びないというのを不思議な現象を通して体験し、
自分自身が生かされている意味を教えられた気がして、
姫路の地を離れてもその気持ちを忘れないために、
年に1回か2回はここを訪れるのだ。


「アカの他人が手ぶらで来て言うのもなんだけど、
 殉職されたお2人の消防隊員さんも、これからも
 ずっと変わらず、この河を見守って下さるん
 でしょうね」

「お孫さんもそれぞれ成長して、きっと
 おじいちゃんの志を受け継いで立派な大人に
 なってくれると思うぜ。
 さ、ニャアコ、帰ろうか」

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2年ぶりの記事ということで、予想外に長くなって
しまった割には相変わらず内容の薄い(笑)今回の
ダレトクヒメジツアー。次回エピローグでやっと
おしまいです。タイトルの如く、読んでも何の得にも
ならない旅ですが、せっかくですんで最後まで
お付き合いいただければ幸いでございます。


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