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続・身分相応の幸福(後編) [オトンは厄年、息子は当たり年]

貧血で倒れた同級生の女子生徒も、先生に付き添われながら無事に

卒業生退場の花道を皆と一緒に拍手に包まれて退出し、先生とクラスの

全員が一旦、教室に戻り、保護者が教室の後で見守る中、6年生最後の

「ホームルーム」が行われた。

卒業式の直後で、これが終わればもう明日からはお別れ、という惜別

ムードが漂う中、先生が話しはじめる・・・



5年生、6年生と2年間、このクラスを受け持って、今日の卒業式の皆の

姿を見て、2年間で本当に成長したと感動している。

もちろん、健康に過ごせて見た目も立派になったが、それ以上に皆が

成長したと実感する出来事が卒業式の数日前にあった。

給食が済んだ昼休み、たまたま教室の隅に置いてた水を張ったバケツを

1人の子が蹴躓いてひっくり返してしまい、あっという間に床が水浸しに

なってしまったらしい、すると教室内でおしゃべりしてた子はもとより、

廊下でふざけあってた子までが、それぞれ手分けして雑巾で床を拭いたり

机や椅子を避けたりして、瞬く間にきれいにしたらしい。

それを申し訳なさそうに報告した当事者の子の横で、片付けた子が

「でもね、先生、皆で協力して片付けたらすぐに終わったんだよー」と、

嬉しそうに言った時、本当にこのクラスの子たちは成長したなと胸が熱く

なった。

「困ってる人の為に、当たり前のように自分の時間を割いてあげれる人」

「当たり前のことを、当たり前に行動できる人」

担任を受け持った時から、ずっと皆にはそういう人になってもらいたいと

願いながら接してきたので、嬉しかった。これからもそういう大人になって

欲しい。


最後の挨拶とともに、先生はそう語った。

幸運続きの1年間だった息子だが、何よりの幸運は、きっとこの先生に

2年間受け持ってもらえたことだったのではなかろうか。

私自身は保護者会や授業参観に出た事はないので、担任の先生を

まともに見るのは最初で最後だったが、2年間、勉強以外の大切な事も

きっとしっかり教えて下さってたのだろう。そう思った。

ちなみにこの担任の先生は「痩せガエル軍団の奇跡」で、敢闘賞を

もらった相撲チームの監督でもあった。

あの一件以来、先生は困った時は、エコヒイキにならない程度に

息子を頼りにしてくれたらしい。


こうして最後のホームルームも終わり、息子の6年間の小学校生活も

終わった。


実は卒業式が終わったあと、担任、卒業生、保護者が、近くの公民館に

ゾロゾロと移動して、そこで「親に感謝を伝える会」なるものが行われる。

文字通り、子供が家族への感謝の手紙を読んだり、歌を歌ったり、

在学中のエピソードをクイズにしたり、入学当時と卒業直前の写真を

1人1人くらべてスライドの大画面に映したりするのだ。

内容自体は2年前の長女の時と全く同じだったが、やはり息子の時

には息子の時の感動があるものだ。

それにしても6年間なんて、過ぎ去ってみればホントに「あ!」と言う間の

夢のような時間だった。

6年前の入学式、今日からこの学校にお姉ちゃんと毎日通うんだぞ

と、記念写真を撮った日のことが、かなり美化されて思い出される。


1人の子供が6年間過ごす中で、親の責任は勿論重要だ。

しかし、その成長の過程には親だけでなく祖父母、親戚、近所の人たち

や友達、友達の親、そして先生と、実に沢山の人々の愛情に守られて

生かされているというのを、2年前と同じく痛感させられる。

そしてウチの子だけでなく、共に巣立ってゆく1人1人全員の将来が、

幸多きものでありますようにと祈らざるをえなくなるのだった。

生活水準が相当低い暮らしの我が家だけれども、この気持ちを

ささやかではあるが、「幸福」と呼ぶのだろう。


これから先、どのような道に進んで、どんな大人になるだろうか、

親が親なのであまり過剰な期待はしてないが、せめて、周囲への感謝の

気持ちをいつも忘れず、せっかく生きてるのだから夢を大きく持ちながらも

「当たり前のことを当たり前に出来る」人間でいてほしいと願いつつ、

この、無駄に長いシリーズを終わりたいと思います。


こんな親バカ誰得シリーズに最後までお付き合いくださった奇特な皆様、

心よりお礼申し上げます。

ありがとうございました [わーい(嬉しい顔)]

(おわり)

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「オトンは厄年、息子は当たり年」








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