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痩せガエル軍団の奇跡 (後編) [オトンは厄年、息子は当たり年]

ついに始まった「子供ずもう」大会!

会場では個人戦に先がけて、まず女子・団体の部が行われていた。

男子・団体の部までは、まだまだ時間があって廻し姿で会場内をウロウロ

していた息子に遭遇したので、とりあえず激励兼アドバイスを・・・

「おい、わかってるやろな、もうすぐ修学旅行やぞ、ケガとかしたらシャレに

ならんから、受身だけはちゃんとやれよ」

「ウッス」


・・・このバカ親父、なんちゅう情けないアドバイスしとんじゃ、と思われる

かもしれないが、開会式で勢ぞろいした各学校の選手たちの、およそ

小学生と思えないガタイを見てしまうと、親としては勝ち負け以前に

身の安全の確保を優先させざるを得ないのであった。


そしていよいよ息子のチームの1回戦。

これが、日々この大会の為に血の滲むような練習を重ねてきたとかなら、

まだ応援のしがいもあるのだが、ウチのチームはどう考えても勝ちを

狙ってる面子には見えなかった。

先鋒・次鋒・中堅・副将戦と、それなりの盛り上がりを見せつつ、ついに

大将である息子の登場!

「・・・」

土俵上で向かい合った両者は、まさに中学生と小学校低学年ほどの

体格差である。

果たして息子にそれをカバーするような策はあるのだろうか?


見合って見合って~はっけよーい・・・のこった!

ワーーーーーーーーーーーーーーー!!!という歓声、そして秒殺。

まさに秒殺!相手の子は息子の廻しの左右を掴むと、軽々と持ち上げ

土俵の外へ運ぶと、息子の身体を丁寧に「置いた」

それはまるで引越しのサカイのCMを見ているかのような鮮やかさで

あった。

息子も、ただ荷物のように運ばれるだけでなく、足をバタバタさせながら

脱出を試みていたが、観客の憐れみ誘っただけで、全くの無駄な抵抗

でしかなかった。が、まあ相手が紳士的な子でヨカッタヨカッタ

さあ、これで無駄なケガせずに終わって助かったー・・・・とはいかなかった。

何と息子チームは2回戦に進んだのだ! 

なぜなら・・・

大将である息子以外の、先鋒から副将までの4人は実は全員勝っていて

トータル4勝1敗だったのだ~!ひいぃぃ勘弁したってくれ~!


そして2回戦


フツーに考えれば1回戦より強い相手が来るだろう・・・

両チームがコールされ土俵を挟んで対峙する。

どうやって1回戦を勝ち抜いたかよくわからないウチのチームと違って、

相手側は上位を目指して日頃から練習してるのが、ひと目でわかる

風格を5人全員が漂わせていた。


実際、いざ戦ってみると全く歯がたたず、先鋒、次鋒、中堅、副将と見事に

全員、次々と敗れ去っていった。

中堅が負けた時点で2回戦敗退が決定していたのだが、勝負は大将戦

までキチッと行われる。


「おいマジか・・・何じゃコレ、ホンマに同い年か?」

土俵上で息子と向かい合った相手の大将は、1回戦の大将の子よりも

遥かに立派な体格で、ムシキングで例えると、コーカサスオオカブト対

ナナフシのようだった。

注) ムシキングにナナフシなんて出てこないわよ!(ニャアコ)

う~ん・・・また秒殺だなコリャ。

見合って見合って~はっけよーい・・・のこった!!

ガシッ!!

初戦の醜態で学習したのか、息子は簡単に廻しを取らせず、なんとか

組み合うことに成功し、形の上では一応、相撲をとってるように見えた。

が、「まさかの大金星?」という淡い幻想を抱く間もなく決着はついた。

圧倒的な体格差にも関わらず、奇策を用いるわけでもなく、無謀にも

正面からぶつかり、なまじ粘ったために今回は土俵の外に投げ飛ば

されてしまった。

「ま、初戦に比べりゃ頑張ったほうだな。充分善戦だわ」

もともと期待してなかったので、悔しいという気持ちは全くなかった。


土俵の外に投げ飛ばされた息子に、相手の大将の子が手を差し伸べ

起こしてくれていた。

それは貴乃花親方が現役時代、よく見た光景だった。

判官贔屓の日本人の典型である私は「憎らしいほど強い」貴乃花関

に対してアンチだったが、土俵の下に落ちた相手に手を差し伸べてる

彼の姿は好きで、尊敬もしていた。

この相手チームの子たちが優勝したらいいな、そんな清々しい気持ちに

なりながら、貴重な休日に用事を片付けるべく、熱戦の続く会場を

後にしたのだった。



イーライ   「さあ、ここから奇跡の逆襲が始まるんだね!」

イロドリ   「いや、試合はこれで終わりだよ」
  
一同     「え?」

チー     「あ、わかった!個人戦で快進撃とか?」

イロドリ   「個人戦も初戦で秒殺だったらしいぞ、見てへんけど」

ビジンダー 「え?じゃあ全然”奇跡”じゃないんじゃないの?」

ラム     「看板に偽りアリ、ね」

レミー    「コレ、今流行の捏造なの?」

ニルス    「こりゃ、息子自体もホントに存在してるのか怪しいぜ」

イロドリ   「アホか」

ニャアコ   「あんた、さんざん世話になってんのよ」

ニルス    「ニャハハ、冗談だよ」

イロドリ   「いや、ホントはこの後に、ささやかな奇跡が準備され

        てるんだけど、ちょっと長くなっちゃったんで、続きは

        次回、エピローグでってことで・・・すまぬ!」

一同     「エーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」



・・・と、いうわけで、今回の後編を楽しみにして下さってた方が、

もしいらっしゃいましたら、スミマセン。

次回エピローグで第1部完結にします。ゴメンチャイ。














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