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天に月  地に桜  人に心 (後編) [講演会]

いよいよ、あさのあつこ先生登場で講演会が始まりました。

二部構成の、両方共に質問形式ということで簡単な自己紹介のあと、まず

司会の方が質問をしてゆくのですが、いくら進行上仕方ないとはいえ、さっき

自己紹介で話したばかりの内容を質問されても嫌な顔するどころか、溌剌とした

対応で、どんどん話を広げてゆく あさの先生。 う~ん、いい人だ。

もともとお話し好きなのか、1つの質問に対して話す内容が次々に横道に逸れて

ゆくのが笑える。名だたる賞を総なめにし、何千万部と作品を売り上げた稀代の

ベストセラー作家という雰囲気を全く感じさせないところが逆にすごいと思いました。


岡山県は美作出身、小学校は自然の中で遊び、中学の時にシャーロックホームズの

「バスヴィカル家の犬」を読んで小説に目覚めた・・・とか、最初に教職者になった

動機は、「夏休みなんかはきっと先生もヒマだろうから、まとめて小説が書けるなと

とんでもない甘い考えしてましたハハハ・・・」とか、「大学の時は本当はミステリー

同好会入るつもりだったのが、ちょうど「横溝正史」作品の研究発表だかで、死体の

人形なんかを置いて準備中の部室のおどろおどろしさにビビって逃げ出してしまい、

そのまま児童文学サークルに入ってしまいました」とかのメジャーなエピソードから

「最近のマイブームは5本指のソックスです!」

「もうね、好きなもの3つ挙げろって言われたら、温泉・少年・野球って答えるくらい

温泉が好きなんで、この後、ここの温泉で一泊して帰るつもりです。それで運転手

兼ねて夫も連れてきてるんです。あ、でも夫を愛してるとかそんなんじゃないですよ」

などと笑わせたかと思えば、

「私も人間ですから嫉妬みたいなものはあるんですよ、三浦しをん がいい作品を

書いたら、”チッ!腕の1本でも骨折してちょっと休んでてくれないかなあとか・・ね」

と、冗談なのか本気なのかわからないダークなギャグで会場を沸かせたりと、

本当に話が面白くて飽きさせません。もちろんホントはご主人とは仲がいいんで

しょうし、三浦しをん さんともお互いリスペクトし合ってるからこそ言える冗談なんで

しょうけどね。

第2部では地元の学生の代表数人からの質問だったのですが、ただ答えるだけ

じゃなく、緊張気味の子には「○○ちゃんって、いい苗字だよねー、結婚したら

せっかくの苗字が変っちゃうから結婚しないほうがいいよ~」と笑わせて和ませる

気配りをみせたりと、気さくで人間的な魅力の溢れるトークで時間も大幅に延長し、

期待をはるかに上回る有意義で幸せな時間になりました。


講演会が終わるとサイン会になります。

持参した先生の著書にサインしてもらえるのですが、その際、自分の名前の

「○○さんへ」という代わりに、

「先生の好きな言葉を書いていただけませんでしょうか」

と図々しくもお願いしてしまいました。

学生さんからの質問で「座右の銘」はなんですか?と聞かれて

「他人に厳しく、自分に甘く!」

と、答えておられたので、てっきりそれを書かれるのかと思ったら、

「いやいやいやいやいや(それは)ないない!」

と笑いながら、でも「ん~」と真剣に考えて書いてくださった言葉が今回の

前・後編の記事のタイトル、


「天に月  地に桜  人に心」


でした。


さすが、小説家としての矜持を垣間見た気がいたしました。


他にも、一昨年の東日本大震災で家族を亡くした方の「NO.6」の感想

を読んで、自分の書いた作品が世の人々に読まれることに対する責任の

重さを実感した話、執筆に行き詰った時に一緒に気分転換に散歩に出た

今は亡き愛犬との話、大人向けの作品ではバッドエンドもありだが、若い

人たちが読む作品は、どんなに絶望的なラストであっても僅かな希望を

感じる終わり方になるようにしたいという話、そして、


「夢を捨てるということは悪いことではないと思います、1つの夢が

なくなったその空間にまた別の新しい夢が生れるから、それを目指して

頑張ればいいし、本当に諦めず持ち続けてる夢はいつか叶えられる

と思います」という言葉、


「ご自分の作品の中で1番好きなのは何ですか?」という質問に対して

「”今書いてる作品”かなあ・・・だって恋愛でも一番好きなのは

”今付き合ってる相手”で”元カレ”とか”元カノ”が一番好きっていう人は

いないでしょ?」という答えなど、時間を忘れるほどご本人もノリノリで

語って下さり、最後のシメの挨拶では

「ホントに楽しかったです、こんなんで講演料をいただいっちゃって

いいんでしょうかね?ハハハハ」と言って下さり、忘れられない

1日となりました。


わずかな時間でしたが、本当に魅力的な方で、この人は例え小説を

書いてなかったとしても何らかの形で世の中に影響を与えてたんだろうな

と実感しました。


作品を読む前に作者ご本人に出会う形になりましたが、もう、一発で

ファンになっちゃいました。

これから、あさの作品にハマってゆく僥倖が準備されてるなんて、人生も

捨てたモンじゃないね、フフフ・・。

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今後も益々のご活躍をお祈りしております。






























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青竹

とてもよい経験をされていますね。
作家は自分の作品が世に与える影響に対して
責任を負わなければならないと思いますが
最近の作家の作品を見ていると、時代に迎合しているだけ
で実際にその覚悟を見るような作品と出会うことが少なく
なったような気がします。
あさのあつこさんは、自分の作品に覚悟を持って
接しておられるのでしょう。
by 青竹 (2013-12-02 15:11) 

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