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26年目の復讐(前編) [26年目の復讐]

今から26年前の1987年・・・

時期もちょうど、今と同じ春休みの頃だったか。

日本のアニメ映画史上に残る1本の作品が全国の劇場で公開されていた。

ストーリーは至ってシンプル、「自堕落な日々を送る若者が、1人の純粋な少女と

出会ったことで宇宙飛行士を目指す」という、信じられないくらいベタなものだった。


しかし、使い古された感ありありの物語とは裏腹に、その作品の設定と世界観は

当時としては斬新で、制作が発表された段階から多くのアニメファンが注目していた。


舞台は、地球とまったく同じ世界を持ちながらも「地球ではない、よく似た惑星」、

そして主人公は「宇宙軍」とは名ばかりの、何だかよくわからない軍隊に属しており、

さらにヒロインは質素な身なりで宗教の布教を生業としてるという、およそ若者向けの

アニメとは思えないキャラクターだったが、その雰囲気は何故か見る者を惹きつけざる

を得ない不思議な魅力に溢れていた。

(ちなみに、当時まだ一般的には聞きなれなかった「制作・ガイナックス」

「キャラクターデザイン・貞元義行」という名前は後に「エヴァンゲリオン」で世界に

衝撃を与えることになる)


そう、その映画の名は

「王立宇宙軍・オネアミスの翼」


80年代くらいからアニメは夢とかロマンや冒険よりも恋愛モノが幅をきかせ始め、

そういうのが生理的に受け付けない私は殆どテレビでも映画でも「アニメ」を見るという

ことがなかったが、ジブリ系すら見ようとしない私でも、この「オネアミスの翼」は

1年近く前から公開が待ちきれないくらい楽しみにしていた。

そして映画の公開に先駆けて刊行された小説版(ノベライズって言うんですかね)の

素晴しさで、期待はピークに達したのであった。

更に待ちきれない私を狂喜させたのが「初日先着セル画プレゼント」の告知だった、

小説版のあまりの秀逸さで感動し、映画も名作確定であろうこの作品で実際に

使用されたセル画である、どうしても欲しかった。


そんなこんなで、もう公開が待ちきれなくて前売り券が発売されたその日にわざわざ

電車に乗って買いに行き、先着プレゼントのセル画を手に入れるべく公開日に備えた。



そして迎えた公開初日

早起きして友人と共に到着した映画館で見たものは・・・

劇場に入りきれず入り口付近であぶれてたむろしてるアニメファン達の姿であった・・・

先着でもらえるセル画なんて、とっくに配り終わってるのは誰の目にも明らかである。


ショックで目の前が真っ暗になり、4半世紀以上経った今でも、この後どうやって帰った

のか覚えてないのだが、どうもその日の2回目の上映を観て家路についたらしい。

我ながら、この時の落胆度はかなりのもので、その後、映像ソフトがビデオからLD,

そしてDVDへと移り変わった現在に至るまで1度もこの作品を鑑賞する気にはならず、

あれだけ感動した小説版もほとんど読むこともなくなった。

「オネアミスの翼」は私の青春時代の苦い思い出として忘却の彼方へと、意識的に

追いやってしまっていたのだ。


しかし、人生とはわからないものである。

公開から26年経った今年、この苦い思い出を解き放つ出来事が起こったのだ。


(後編に続く)



















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マンチ軍団

わぁ~どうしたんでしょう・・・
by マンチ軍団 (2013-04-01 19:53) 

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