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特別編「ニャアコの出産前夜・後編その3」 [出産]

そうこうしてるうちに2月も3週目を迎えた。

恐ろしいことにニャアコの腹は更にデカくなっていた。今週中に産まれなかったら病院に連れて行こう。

出産が近づくと猫はより安全なお産スペースを探してウロウロするらしいが、このところニャアコも今まで入った
ことのない押入れの奥や普段行かない部屋の隅っこのほうに出没したりした。
前回のお産用の箱は、いきみ心地が悪かったのか何故か二度と近づこうとしなかった、せっかく作ったので
この箱で産んでもらわないと困るのだが、ひょっとして生まれてくる子供の数に対して箱が小さすぎるということなのか・・・

もうひとつ変化があった。夜、息子の布団に潜って寝るようになったのだ。
と言っても足のほうの余ってるスペースを確保するのだが、息子はまだ小学生なので場所的には充分余裕が
あった。

「まさか、ここでは産まんよなあ・・・」

嫌な予感が頭をよぎったが、なんだかんだいいながらきっと産むときは、あの箱の中に行くに違いない。

2月16日の夜。ニャアコは歩くのもしんどそうだった。
そろそろ寝ようとしてるとダルそうな足取りで近づいてきたので、撫でてやると頭をゴンゴンとぶつけてきた。
額を押し付けてグリグリしてやるとそのまま横になろうとしたので、一緒に寝転んで腕枕をしながら擦って
やると気持ちよさそうにそのまま寝てしまった。よほどしんどいのだろうか。

ニャアコがウチで暮らし始めて3ヶ月が経つが、まだまだ心を許してないのか無防備に熟睡している姿は、
ほとんど見たことがない。しかしこの時のニャアコはしんどかったとはいえ、腕枕に委ねきって安心して
眠っていた。今までで一番かわいい姿だった。おそらくこの先、一生忘れることのない幸せな時間だった。

子供たちが風呂から出てきた騒がしさで至福の時は一瞬にして終わりを告げニャアコは息子の布団へと
帰っていった。

「はぁ・・・明日も仕事か・・・」あっという間に現実に引き戻され私も寝ることにした。

2月17日、朝4時30分頃、仕事に行くためそろそろ起きようかと目覚めかけた時、隣の部屋から
「ニーニー」「ミーミー」「ニャーニャー」
という、ニャアコの声と小動物の鳴き声らしき音が聞こえた。

「チッ、ねずみか・・・」と思ったが、どうも違うようだ。朦朧とした意識が徐々にはっきりしていく。

「あ!」飛び起きて子供たちが寝ている隣の部屋へ駆け込みケータイの明かりで声の主を照らした。

ニャアコと小さな赤ちゃんたちだった。
よかった。無事に出産したようだ。・・・・・・・・息子の布団の中で。
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